■60年前の航海の風景が頭をよぎったことは?
「(今回は60年前と逆のコースをたどるため)出航地のサンフランシスコへ行った時に、60年前の航海のことを覚えてくれていた現地の方がたくさんいた。そうしたことが今回の航海にも役立った。60年前のことがよみがえってきたようで、良かったなと思っている」
■80歳を過ぎたからこそ見えた景色は?
「何でしょうね…。若い時は高齢の人が何をしたか、関心がなかったけど、ある程度の歳を重ねると、近い歳の方々に自然と関心が出てきた。そうすることによって、自分の立ち位置が見えてくるような感じがする」
■北海道・知床での観光船事故(4月22日)について、海に生きる人間としてどう感じたか?
「航海中、ラジオで事故のニュースを聴いた。僕たちは自分自身で計画して(航海を)進めているので、事故が起きた場合は自己責任でやっているが、たくさんの人が事故に遭うと、気を付けないといけないと思うし、海の上からだが、ご冥福をお祈りさせていただき、すごく気にしていた」
■かつてのインタビューで「自分では冒険家と言わない」と言っていたが?
「僕はやはり”ヨットマン’でいいと思っている。第三者から冒険家と評価されるのは嬉しいことではある。しかし自分から言うべきことではないという思いは、昔も今も変わらない」
■数多くの航海を続ける中、自信の航海の中で海や気候、操船で変わったことや変わらないことは?
「(世間では現在の海は)化学的な汚染があると言われているが、見ただけでは分からない。今思えば、60年前は漁師が使う漁具などの浮遊物が多かった。今はほとんど見かけないくらいにきれいになっている。おそらく海に出る方のマナーが向上したからではないか。50~60年前は、ごみ以外に船から流れ出る廃油がかなりあった。例えば、ヨット『マーメイドIII号』で、西回り単独無寄港世界一周した1973(昭和48)年~74(同49)年、ところどころで廃油を見かけたが、それもだんだん減って、今では見かけなくなった。その点ではモラルのレベルが上がってきたのではないか」


