ガムの形で、引っ張ると指がパチンと弾かれるイタズラおもちゃ、通称「パッチンガム」。昭和から平成初期にかけて子どもたちを中心に人気を誇ったおもちゃです。しかし、現在国内での生産は停止しており、パッチンガムはおもに海外を中心に製造されているのだそう。
子どもたちからの絶大な人気を誇ったにも関わらず、なぜ国内での生産が中止となってしまったのか? かつてパッチンガムを製造販売していた株式会社アイコ(本社:東京都足立区)の桝本さんに、パッチンガム販売のきっかけや当時の売れ行き、さらには製造販売を中止した理由について聞きました。
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――パッチンガムを作ることになったきっかけは何でしょうか。
【桝本さん】 当時製造企画に携わっていた従業員がほとんど退職してしまい、詳細は不明です。弊社はパーティグッズの総合メーカーであったため、おそらく、その企画の一環でパッチンガムを作ることになったのだと思います。
――どうして製造販売を中止されたのでしょうか。
【桝本さん】 事業縮小にともなう選択と、販売商品の集中化によるものです。ジョークグッズ全般ではなくアニマルマスクに特化することが決定したため、それまでに製造販売されていたジョークグッズは、残念ながらほとんどが廃盤となりました。現在は、「アニマルマスクシリーズ」および「ドミノマスクシリーズ」をメインに販売しています。
――昔に比べて、現在はどのようなおもちゃが売れている傾向にありますか?
【桝本さん】 おもちゃ業界全般で言うならば、やはり「トレーディングカードゲーム」「TVゲーム」「知育玩具」が強いです。コロナなどの影響により、昔のように外で遊ぶ機会が多くないなか、家でも楽しめる玩具が好調です。パッチンガムのような“いたずら”もののおもちゃは、人と人が触れ合うことができる反面、関係性やコミュニケーションが必要になります。残念ながら今の世の中では、「けがをしたらどうする?」などの安全性が問われる風潮から、パッチンガムのようなおもちゃは受け入れられなくなってきているのが事実です。