2000年9月に駅での盗撮行為が発覚……いわゆる「ミニにタコ事件」から覚醒剤取締法違反などで計8回の逮捕ののち、このたび刑期を終えた、田代まさしさん。ミュージシャン、タレントとして頂点を極めた田代さんの栄光と挫折について、シンガーソングライターで音楽評論家の中将タカノリと、シンガーソングライターでTikTokerの橋本菜津美が紹介します。
【中将タカノリ(以下「中将」)】 3月に刑務所を出所されていたということで、満を持して今回は田代まさしさんを特集したいと思います。菜津美ちゃんは田代さんにどんなイメージを持っていますか?
【橋本菜津美(以下「橋本」)】 もともと、音楽をやっておられたらしいことと、何回も逮捕されてることは知ってるんですけど、正直あんまりイメージがないんですよね……。
【中将】 逮捕されてテレビから姿を消したのが20年以上前だもんね……。僕は今38歳で菜津美ちゃんより10歳年上ですが、僕たちの世代にとって逮捕前の田代さんはテレビで見ない日がないくらいの大スターでした。
【橋本】 どんな活動をされていたんですか?
【中将】 田代さんは1980年にシャネルズ、のちのラッツ&スターのコーラスとしてデビューしました。最近、倖田來未さんのカバーバージョンがTikTokで人気だそうですが、「め組のひと」(1983)を最初に歌ったのは田代さんらラッツ&スターでした。特徴的なあの振り付けも田代さんが考案したもので、オリコン・ウイークリーランキングで1位を獲得し、1983年度の年間ランキングでも10位の大ヒットになっています。
1985年にラッツ&スターが活動休止してからは司会者やコメディアンとしても才能を発揮して、特に志村けんさんの番組には欠かせない主要キャストになりました。「マーシー」と呼ばれていて、全盛期には原宿に「マーシーズ」というタレントショップまで出していたんです。
【橋本】 「め組のひと」はわかります! なんでそんな人が逮捕されてしまったんでしょう……。
【中将】 鞄にビデオをしのばせて駅で盗撮してるのが発覚しちゃったんです。記者会見で「『ミニにタコができた』というギャグの映像を作ろうと思った」とかなり苦しい言い訳をしてメディアに叩かれて、そうこうしてるうちに自宅から覚醒剤が見つかって最終的には刑務所に入ることになってしまいました。盗撮行為は覚醒剤常用による奇行だったみたいですね……。
【橋本】 覚醒剤って怖いですね……。