【割り箸】なぜ“割る”必要が? 江戸時代の鰻屋が「合理性と清潔感」を追求した結果、と研究家 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

【割り箸】なぜ“割る”必要が? 江戸時代の鰻屋が「合理性と清潔感」を追求した結果、と研究家

LINEで送る

この記事の写真を見る(7枚)

 飲食店や出前、コンビニ弁当などに欠かせない割り箸。誰もが知っている「食事のための道具」ですが、美しく左右対称に割ろうとすると、これが結構むずかしい。ナナメに割れて長さがまちまちになったり、ささくれた部分が指に刺さったりして、思わずイラっとした経験……ありますよね?

割り箸が変なふうに割れると、なんとなくモヤモヤした気持ちに……

 そもそもなぜ、割り箸はくっついたまま提供され、わざわざ割る必要があるのでしょうか。疑問を解消するべく、割り箸の歴史について「江戸料理・文化研究家」の車浮代さんに聞きました。

 車さんによると、割り箸が誕生したのは江戸時代後期とのこと。諸説ありますが、割り箸を発明したのは鰻屋だったそうです。

「“う”のつく物を食べると夏バテしない」というふれこみを利用して、本来冬が旬である鰻を夏にも売るため、江戸時代の蘭学者・平賀源内が『本日土用丑の日』と書いた貼り紙をしたところ鰻屋は大繁盛した、という話は今でも有名ですよね。実はそこにヒントがありました。

「鰻屋には客が殺到し、箸を洗うのが追いつかなかったため、考案されたのが『引裂箸(ひきさきばし』と呼ばれる竹製の箸でした。この箸は二本の箸の根元がくっついており、その理由は“使い回し”をふせぐため。洗わなくてもいいかわりに“使いまわし”の発生を心配した店側は、一目で未使用・清潔であるということを客にわかってもらえるよう、このような形状を考え出したのです。客の信頼感を得るための知恵だったとも考えられます」(車さん)

箸を洗うのが追い付かなかった鰻屋が、「未使用・清潔」であることを客に示すために、根本がくっついた箸を考案した

つまり、この引裂箸こそが割り箸の原型である可能性があり、箸同士がくっついているのは、「未使用を知らせる印」だったのです。

 他にも、割り箸を発明したのは「蕎麦屋」だったという説があるそうです。鰻屋と同様に、江戸時代には蕎麦の屋台が繁盛しており、客の回転率を上げるために蕎麦屋で割り箸が考案された……というものです。

蕎麦屋に次々やって来る客を、効率的にさばくための手だて……という説も

 この説に対し、車さんは「鰻屋」説派。推す理由としては「蕎麦であれば、箸はそこまで汚れることなく、洗うことも手間にはならないと考えられます。鰻の場合は脂とタレでベタベタに汚れるため、洗うのに手間がかかりますよね? そういう観点では、割り箸がより必要とされるのは鰻屋だったのではないでしょうか」と語ります。

LINEで送る

関連記事