「手間がかかる日本酒しかつくらない」約300年続く酒蔵の決断「香住鶴は生きる文化遺産」兵庫・但馬 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「手間がかかる日本酒しかつくらない」約300年続く酒蔵の決断「香住鶴は生きる文化遺産」兵庫・但馬

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 劇作家・演出家の平田オリザさんがパーソナリティを務めるラジオ番組『平田オリザの舞台は但馬』(ラジオ関西、木曜午後1時~)に、兵庫県・但馬を代表する酒蔵のひとつである香住鶴株式会社の社長を務める福本芳夫さんが出演。手間のかかる日本酒をつくる理由と、今後の挑戦について語った。

香住鶴株式会社 社長の福本芳夫さん

 香住鶴の創業は今から約300年ほど前となる1725年。江戸時代に確立された、世界にまたとない日本酒の伝統技法「生酛(きもと)」や、明治時代に考案された「山廃酛(やまはいもと)」など、今もなお手間のかかる製法で全量を醸造している。

生酛 からくち1.8Lパック
RICH(山廃)1.8Lパック

 原料米にはすべて兵庫県産の米を使用している「香住鶴」の特長は、うまみとまろやかなのど越し。一般的な日本酒と比べて酸やアミノ酸の含有量が2割ほど多く、海鮮料理をはじめとした“料理を引き立てるお酒”としてその真価を発揮している。

「先代(8代目の福本幹夫さん)は、常々『ほかとまったく同じことをやっていては生き残っていけない』と言っていました。コストや手間がかかっても、ほかとは違うことをやっていこう。そんな思いから『手間がかかるお酒しかつくらない』という、思いきった決断に至りました」(福本さん)

 福本さんの決断は、ほかにもある。

 2003年に蔵を現在の香住区小原に全面移転した際には、蔵見学なども行えるように拡張。さらに、地元住民への感謝の気持ちを込めて年に2回「蔵まつり」を開催するなど、地域住民との積極的な交流も図っている。

 平田さんは「昔ながらの造り酒屋は、地域の文化拠点になっていることが多い。『醸造』はすごい技術。当時、最先端のケミストリーです。『知の集積場』であったことでしょう。香住鶴の場合は、今も『生きる文化遺産』としてその機能を果たしていますね」と述べ、その功績をねぎらった。

 そして、福本さんの挑戦はまだ続く……。

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