《ウクライナ軍事侵攻から半年》「ロシアが変わるまで」国の生存かけた抵抗、止まらぬ戦い キーウを想う ナウモヴ・アンドリイさん | ラジトピ ラジオ関西トピックス

《ウクライナ軍事侵攻から半年》「ロシアが変わるまで」国の生存かけた抵抗、止まらぬ戦い キーウを想う ナウモヴ・アンドリイさん

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 8月24日、ロシアによるウクライナ軍事侵攻から半年が経過した。この日はウクライナにとって旧ソビエト連邦からの独立記念日にも当たり、 首都・キーウの目抜き通りには、侵攻に使われたロシアの戦闘車両が展示された。国民の士気を高めるのが狙いだったとみられる。 例年開かれる祝賀行事やパレードは見送られた。
 ゼレンスキー大統領はこの日の演説で 「われわれにとって戦争の終結とは何か?かつては”平和”と言っていた。今は”勝利”だ」と強調した。

 この様子を映像を通じて目にし、大きくうなづいたキーウ出身のナウモヴ・アンドリイさん(39)は、2月24日のロシアによるウクライナ軍事侵攻以降、遠く離れた日本から祖国を案じる日々が続く。
 キーウ国立大学で日本文化を学び、留学した大阪大学を卒業後、2014年に世界中全ての人に日本の商品をオンラインでスムーズに購入できる場を、と海外在住者向けに日本の商品を輸出する「ゼンマーケット」(本社・大阪市中央区)をロシア人との共同経営方式で立ち上げた。

ナウモヴ・アンドリイさん「戦い続ければ、真の独立が待っている」8月24日の独立記念日は静かに過ごした

 8月24日、独立記念日。いつもならばウクライナ人の友人たちと出掛け、ともに祝う日だが、今年は自粛した。「ウクライナが、もう1つの独立のために戦い続ければ、その先に(戦争が終結して、真の独立が)待っているから。祝うタイミングはその時に」。

 そして「命を落としたウクライナの兵士は1万人近い(※)とされている。こうした犠牲を払って、もしウクライナが負ければ、国家自体が、私たちの存在意義がなくなってしまう。もちろん平和を望むし、戦火に包まれる故郷は見たくない。しかし国家を守るためには、私たちの必死の抵抗が6か月で済むような単純なことではない」と話す。

「戦争はしたくない それはウクライナ人もロシア人も一緒」<2022年3月 軍事侵攻直後の反戦集会(大阪駅前)>

 一般的に国際紛争は、金銭や領土の奪い合いとされる。しかし、日本に住むアンドリイさんが日本人に理解してほしいと訴えるのは「この戦争は、国家と国民の”生存のための戦い”である」ということだ。
 ロシアは正式な宣戦布告をせず、自ら始めた軍事侵攻だけに、いつでも侵略を止めることができる。しかし侵攻を受けた側のウクライナには、そうした選択肢はなく、ただひたすら生存のために抵抗して、結果的に勝利しなければ「死ぬ」ことと同じなのだという。
ここでいう勝利とは、ウクライナの領土でウクライナ国民が、安全な状態で生活できる状況になること。ロシア人を殺(あや)めることや、クレムリン(ロシア大統領官邸)を攻撃することではないと強調する。

ロシア軍は3月4日、ウクライナ南東部・ヨーロッパ最大級のザポロジェ原発の一帯を攻撃

 アンドリイさんは、「今のロシアは、明らかにプーチン(大統領)による独裁国家であり、核兵器をちらつかせ続けている限り戦いは終わらない。停戦したとしても、それはあくまでもポーズを取るだけの話。ロシアはこの間に戦力を整えて、新たな侵略方法を考えてくるに違いない。そうすると自分の子どもや孫の世代にまで悪い影響を及ぼすことになる」と早期の解決の難しさを語る。

街角に立つウクライナの子ども 将来世代にウクライナを残すための戦い
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