神戸の企業・日本計装株式会社は制御盤や工業用銘板などを製造する、歴史がある会社だ。設立50周年を迎えるにあたり、これまで培ってきた技術を応用して思い出を形にする商品を製造するなど、新たな取り組みを行っている。日本計装株式会社(神戸市西区)の取締役、竹内克徳さんに話を聞いた。
日本計装株式会社は竹内さんの父親が立ち上げた会社で、これまでは対企業であるBtoBの商売をしてきた。50周年を迎えるにあたり、一般消費者向けとなるBtoCの世界でどういう商売ができるのかチャレンジしようということに。ハッピーフィーリングという屋号で、思い出を形にする「メモリアルキューブ」の製造を開始。世間的に大量生産が多くなっている中で、小ロットでオリジナルの商品を作ることに取り組み始めた。
竹内さんは商品について「かけがえのない幸せな瞬間を立体アクリルに映し出したもので、その当時のことが蘇るものになっています」と紹介。どの角度から見ても写真が見える上に、角度によって様々な見え方が楽しめる。お子さんの誕生記念やブライダル記念などの記念品に最適だ。
これまでと違って一般消費者向けに商品を販売する中で、お客さんに直接売ることの難しさがわかったという竹内さん。「写真変更はできない仕様で、一生このままの形で残る商品です。コロナ禍で大変な時期ですが、家族との思い出、ペットとの思い出を残してもらえれば」と、今の時期だからこそ使ってほしい商品だということを強調した。「帰省するときに持って行く」と注文するお客さんもいたようで、標準サイズは3センチ四方や5センチ四方の立方体だが、直方体のものも作ることが可能。同じ技術を用いて会社の記念の盾を作り、社長室に飾ってもらった事例もあるそうだ。
コロナ禍の中で、日本計装株式会社が販売している倒れにくいアクリルパーテーションも注目されている商品だ。パーテーションの脚がアクリル製のものも多い中、ステンレスを採用している。接地面にラバースポンジを貼ることで机などに傷がつきにくく、倒れにくいようになっている。脚のみの販売も可能なので、既に持っているアクリル板に取り付けて使うこともできる。
日本計装株式会社は以前から制御盤を製造しているが、制御盤などに使われている銘板は押すと危険なボタンがあり注意を促す場合、これまでは白色に赤字や黄色に赤字の文字で危険だと表示するくらいだった。だが、日本計装株式会社の技術でより危険さを際立たせるようなデザインにすることが可能になったという。また、銘板に今までは文字しか入れることができなかったが、QRコードを埋め込むことも可能に。メンテナンス用の動画やカタログ、図面が見られるQRコードを埋め込むことでタブレットを使用すればその場ですぐにチェックができる。竹内さんは「紙やシールだと経年変化で傷んでしまいますが、アクリル加工したものであれば汚れても拭けばいいし、はがれる心配もないのがメリットです」と説明した。
これまでの技術を応用し、様々な新しい商品を生み出している日本計装株式会社。今後の動きにも注目したい。
※ラジオ関西『こうべしんきん三上公也の企業訪問』2022年8月23日放送回より