ただし、絶対に注意しなくてはいけない点があります。
「手押していてもエンジンを切っていない場合は『運転』とみなされ交通違反となる可能性があります」(森本弁護士)
さらに、
「法律はあくまで『2輪車』に対してのもの。『三輪バイク』や『サイドカー付きバイク』はこれに当てはまらず、いかなる場合でも“歩行者”とみなされません。そもそもバイクは車体重量100kg以上となるものが多数あり、歩行者にぶつかると怪我を負わせてしまいます。よって、歩道に入るときは細心の注意が必要です」とのこと。
いっぽう、警察の見解はどうなのでしょうか?
兵庫県警交通企画課に聞いてみたところ、「道路交通法違反でないのであれば取り締まれませんし、『交通マナーが悪い』と一刀両断することもできません。ただ、歩道が混雑しているなど状況によっては、ライダーの行為が危険な場合もあります。可能なかぎり信号機を守り、安全に交差点を通過してほしい……というのが警察の考え」という回答が。
法に触れていないことや道路状況にもよることから、一概に良い・悪いを明言できないものの「違反ではないがマナーとしては疑問」「できればやめて欲しい」というニュアンスでした。
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現在の社会情勢にフィットする乗り物として見直され、再び人気を博しているバイク。「法律を犯していないから大丈夫」といってしまえばそれまでですが、状況判断を誤れば取り返しのつかない事故を招く可能性が大いにあります。
“時間短縮”する必要がないくらい十分な余裕を「時間」にも「心」にも持って、安全運転を心掛けたいですね。(取材・文=宮田智也 / 放送作家)
◆森本圭典 かなえ法律事務所(神戸市) 共同代表弁護士 / 甲南大学 非常勤講師
2013年12月弁護士登録。地元兵庫県で地域に根ざした弁護士活動を行う。取扱分野は、相続、交通事故、破産、中小企業のトラブルなど。甲南学園を卒業した縁から、甲南大学で非常勤講師も務める。