「亡き妻と喜びたかった」旧優生保護法・兵庫訴訟 控訴審 “20年の壁”に夫、不服訴え 大阪高裁 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「亡き妻と喜びたかった」旧優生保護法・兵庫訴訟 控訴審 “20年の壁”に夫、不服訴え 大阪高裁

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 旧優生保護法(1948~1996年)のもとで不妊手術を強いられたのは違憲だとして、兵庫県内の聴覚障害者ら3人が国に計1億65000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審の第1回口頭弁論が15日、大阪高裁で開かれた。

大阪高裁

 この訴訟(兵庫訴訟)は当初、兵庫県内の聴覚障害者の夫婦2組と脳性まひのある神戸市の女性の計5人が提訴したが、このうち2人が死去した。原告側は「差別に苦しんできた。国を許すことはできない」と訴えた。被告の国側は原告側の控訴を棄却するよう求めた。即日結審し、判決は2023年3月23日。

 2021年8月、一審・神戸地裁判決は旧優生保護法を「憲法違反」と判断したが、不法行為から20年が経過すると損害賠償請求権が消滅する、民法上の「除斥期間」が経過したとして請求を棄却した。

旧優生保護法・強制不妊手術 憲法違反を認めても、20年の除斥期間適用に納得できない夫と妻(右)※2021年撮影
「子どもを授かることを心待ちにしていた」理由も告げられず手術を受けさせられた

 15日の口頭弁論では、原告の男性(90)が手話で意見陳述し、妻(89)が今年(2022年)年6月に死去したことを明かした。この男性は1960(昭和35)年に結婚、妻が妊娠したが、医師からの説明もないまま中絶手術をされた。強制不妊手術をされていたことを知ったのは2018(平成30)年。優生保護法という法律の存在を知ったのもこの時だった。男性は「差別に打ち勝つ判決を聞き、(妻と)共に喜びたかった」と悔しさをにじませ、「耳が聞こえないだけで子どもを持つ人生を奪われた。差別に苦しむ人生を想像してほしい」として賠償を求めた。

夫は「秘した過去を語るのが怖かった」と振り返る
妻は2022年6月に死去 ※2021年撮影

 旧優生保護法をめぐっては被害者らが全国10地裁・支部に提訴。2022年に入り、大阪高裁と東京高裁がそれぞれ、「著しく正義・公平に反する」として20年の除斥期間の適用を制限し、国に賠償を命じている(いずれも国側が上告)。

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