じつはシャレにならない“琵琶湖の水止めたろか” 運営施設→「京阪神でも水利用が困難」「観光も大打撃」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

じつはシャレにならない“琵琶湖の水止めたろか” 運営施設→「京阪神でも水利用が困難」「観光も大打撃」

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「琵琶湖の水止めたろか!」といえば、滋賀県民と京都府民が言い争いになった際に飛び出すフレーズとして有名ですよね。それほどまでに「琵琶湖の水」が関西において大きな影響力を持っていることをあらわすジョークです。

 しかし、最近ではメディアでこのジョークが取り上げられる機会が増えたせいか「滋賀県で水を止めることはできない」「もし琵琶湖の水を止めれば、逆に滋賀県が危なくなる」などなど、カウンター的なフレーズも知られるようになってきました。

 実際のところ、琵琶湖の水はどれほど関西で使用されているのでしょうか? はたして滋賀県で水を止めることは可能なのでしょうか? 琵琶湖の水位管理をしている「国土交通省琵琶湖河川事務所」(滋賀県大津市)が運営する水に関する施設「アクア琵琶」に話を聞いてみました。

空からみた琵琶湖(提供=アクア琵琶)

「琵琶湖の水が利用されるようになったのは、1885年に着工し5年の歳月をかけ、1890年(明治23年)に『琵琶湖第一疏水(そすい)』が完成したことが始まりです。その後『琵琶湖第二疏水』の完成により、上水道や発電などが拡張され、さらに利用の幅が広がりました。そんな琵琶湖の水は滋賀県をはじめとし、京阪神地域の水道用水、工業用水、農業用水、発電用水として利用されています」(アクア琵琶)

 この琵琶湖疏水のおかげで、日本初の水力発電をはじめとし、上水道や舟運、さらには路面電車の運行などさまざまな側面で京都の街が発展しました。なかでも水道用水の給水人口は約1450万人とされており、京阪神の生活を支える水源ということが分かります。

 さて、気になるのは「琵琶湖の水止めたろか」が本当に可能かどうかです。「アクア琵琶」にその疑問をぶつけてみると、こんな答えが返ってきました。

「琵琶湖から自然流下する河川は瀬田川の1本です。瀬田川は『瀬田川洗堰』によって琵琶湖の水位管理をしている河川となっています。『操作規則(平成4年制定)』によると、洪水時に下流の天ヶ瀬ダムが洪水調節を行っている時や大阪府にある枚方地点の水位がある一定以上まで上昇することが予測された時のみ、全閉できます」(アクア琵琶)

琵琶湖の水位管理に重要な瀬田川

 さらに、仮に琵琶湖の水を瀬田川洗堰で止めたとしても、京都市が管理する「第一・第二琵琶湖疏水」、および関西電力が管理する「宇治発電所」により京都府域に琵琶湖の水が供給されるそうです。しかし、そういった前提を踏まえてもしも「琵琶湖の水が止まったら」とシミュレーションしてみると、やはり大変な事態に発展してしまうことが分かりました。

「滋賀県においては琵琶湖沿岸で浸水被害が発生する可能性が出てきますし、下流にあたる京都府・大阪府では淀川・宇治川の水量が大幅に減ることで、水利用が困難になるでしょう。また、淀川・宇治川、さらに瀬田川洗堰下流の瀬田川における動植物などの生息環境、船舶の水面利用、観光などにも大きな影響が生じることが想定されます」(アクア琵琶)

 さすがに「滋賀県が水を止める」が現実的ではないにしても、琵琶湖は1994年(平成6年)に「大渇水」という現象に見舞われ、大幅に水位が下がってしまったことがあります。「渇水」とは雨の量が少なく、水の利用量が高まることでおこる現象ですが、それによって人々の生活や琵琶湖の環境にも大きな影響が及ぶのだとか。

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