筋肉組織の中に骨ができる難病「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」と闘う兵庫県明石市在住の山本育海さん(25)と、関西の高校生たちが、治療法や新薬開発の研究のための募金を呼びかけている。
育海さんは小学3年だった8歳の時にFOPと診断された。FOPと闘う患者は、育海さんをはじめ日本に数十人いるという。
iPS細胞を活用した治療法に活路を見出した育海さんは、京都大学iPS細胞研究所(所長・山中伸弥教授)に自身の細胞を提供し、研究に役立ててもらおうと心に決めたのは兵庫県立明石商業高校在学時の2015年。研究所にとって資金不足が深刻な問題だったことから、同級生らと「193(いくみ)募金」を始めた。
「193(いくみ)募金」は、FOPだけでなく、多くの難病の研究が進むようにiPS細胞研究所を支援するもの。こうした思いに、地元・明石市のみならず、神戸・大阪の多くの高校生らが募金活動に賛同し、昨年(2021年)は総額248万6609円が集まった。
そして今年も、育海さんが25歳の誕生日を迎えた12月14日を中心に、地元・兵庫県明石市をはじめ兵庫県、大阪府の高校計15校の生徒が、登下校時やランチタイムなどに「193(いくみ)募金」への協力を一斉に呼び掛けた。
25歳の誕生日を迎えた12月14日早朝、今シーズン最強の寒波の中、明石市の高台にある兵庫県立明石北高校で、生徒会が中心とした募金活動が行われた。
生徒会長の松末暖人さん(2年・17歳)は、「集まったお金は微々たるものかも知れないが、研究費に充てられ、1日も早く(FOP)の治療法が見つかれば」と願った。
■広がる募金活動の輪
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、免疫がほとんどない育海さんが感染すると、体へのリスクが非常に高いことから、思うように街頭での募金活動ができない。しかし、関西の高校生による支援の輪は広がっている。