《2022~2023 日本の議論》日本に「国葬」は必要なのか? 藤本尚道弁護士 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

《2022~2023 日本の議論》日本に「国葬」は必要なのか? 藤本尚道弁護士

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■岸田首相の「説明する力」が…

 政治家を評価するのは難しいと、つくづく思う。今は評価されなくても、後世に偉業と称えられることもあれば、その逆もある。

 国葬についての評価は、安倍元首相の功罪を問うものではない。政治家が日本の取るべき方向性を世界に示すのは、至極当然のこと。他方でモリ・カケ・サクラ(森友学園・加計学園の各問題、桜を観る会に関するさまざまな疑惑)に加えて旧統一教会問題まで浮上した。世論の大半は疑心暗鬼のままだ。

安倍元首相とトランプ前米大統領 韓国・ソウル市内の街頭ポスターに「韓米日政府共有約定破棄!戦争犯罪謝罪賠償!」の文字が(2019年9月撮影 ※画像提供・木村幹 神戸大大学院教授)

 こうした中、「国葬」を挙行したのが今の日本なのか、と思うとやるせない。12月22日、国葬を検証する有識者21人へのヒアリングに基づく報告書が公表され、「国費を用いた国葬は、超党派の支持が望ましいのに、合意を形成するための努力が十分でなかった」と指摘された。

 岸田首相は2021年の総裁選で、自身の「聞く力」をキーワードに挙げたが、この報告書への公式見解のみならず、相次ぐ閣僚らの事実上の更迭、防衛費増強について「語る力」、「説明する力」が十分とは言えない。
 危険水域とされる内閣支持率を鑑みるに、国民のひとりとしては、何か悪い夢を見続けている……としか思えないのが悲しい。

◇藤本尚道(ふじもと・まさみち)
1958(昭和33)年6月、神戸市生まれ。神戸大学法学部卒業。兵庫県弁護士会所属(司法修習38期)、2004(平成16)年度兵庫県弁護士会副会長・会長代行、兵庫県立大学客員教授など歴任。神戸市中央区にハーバーロード法律事務所を開設。

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