昭和の子どもたちの間で一大ブームを起こした「笑い袋」。アニメ・漫画作品『ちびまる子ちゃん』や『笑ゥせぇるすまん』などの作中にも度々登場しており、作品を通してご存知の方も多いのではないでしょうか。
高い人気を誇った笑い袋ですが、残念ながら2010年に廃盤が決定し、現在は販売されていません。開発のきっかけや廃盤理由について、笑い袋を生み出した株式会社アイコの桝本さんに話を聞きました。
――発売のきっかけは?
【桝本さん】 もともと、創業社長が「オーゼン」というサウンドデバイスの会社を持っていました。オーゼンは小型レコードを使用した玩具用小型発声機を国内生産し、イタリアの有名人形メーカー・セビーヌ社などから高く評価されていました。そこで初代社長が知り合いのアメリカ人から、「小型発声機で『笑い声』を作ってほしい」と頼まれたことをきっかけに販売することになりました。
アメリカでは当初、ミッキーのぬいぐるみに笑い声のする機械を入れて販売する予定でした。しかし、笑い声ナシのミッキーが10ドルだったのに対し、笑い声アリのミッキーは25ドルと値段が高かったためまったく売れなかったんです。
それがきっかけで「笑い声を袋に入れて販売してみてはどうか」と社長が提案し、のちのヒットへとつながりました。笑い袋の生産及び開発中は、農家の空き家を作業場として使用していたため、隣のお米屋さんからは養鶏場だと思われていたそうです。
――どのような目的で購入される方が多かったのでしょうか?
【桝本さん】 笑い袋は、1969年にアメリカのニューヨークでテスト販売が開始されました。そのテスト販売では瞬時に売り切れ、新聞記事にもなるほど脚光を浴びました。しかし、新聞記事には「なぜか」売れたと書かれており、実際の所みなさんの購入目的はわからないままです(笑)。
弊社での分析によると、1969年はベトナム戦争などの影響からアメリカ内の雰囲気があまり良くありませんでした。特にパーティーやジョークを欲している若者、癒しを求める家族や軍人などから、「笑い」を提供するというコンセプトが好評を博したという分析もあります。