1950年代当時は空前のロカビリーブームで、アメリカンポップスの邦訳バージョンや模倣した曲がいろいろヒットしたのですが、「六八コンビ」の曲は単なる焼き直しではなく、より良い上質なポップスを模索した形跡を感じます。
【橋本】 私も女性が歌ったカバーで聴いたおぼえがありました。たしかに映画のようなお洒落な雰囲気があって時代の古さを感じませんね。
【中将】 次に紹介する曲も長く愛されている曲です。ジェリー藤尾さんの「遠くへ行きたい」(1962)。
【橋本】 これは名曲ですよ……。人生に疲れた時、この曲を聴きたい(笑)。
【中将】 この曲はもともと、お二人がスタッフとして携わっていた日本初の音楽バラエティー番組『夢であいましょう』(NHK)の「今月の歌」というコーナーで発表された曲でした。毎月、新曲を作ってプロモートしていくという斬新な企画で、このコーナーから数々のヒット曲が生まれました。
【橋本】 すごい企画ですね! でも私、この曲は別の番組の主題歌として記憶に残っていたのですが……。
【中将】 1970年10月にスタートした旅番組『遠くへ行きたい』(読売テレビ・日本テレビ系)でも長く使われていますね。
【橋本】 おばあちゃんがその番組の大ファンで、小さい頃一緒によく観たんですよ! 確かに「六八コンビ」って時代を超える名曲がいっぱいです。
【中将】 次に紹介する曲も「今月の曲」から生まれた曲ですが、今や日本の芸能界を支配的地位にあるジャニーズ事務所の始まりと言ってもいい曲です。ジャニーズの「若い涙」(1964)。
【橋本】 ジャニーズ事務所の初代グループって「ジャニーズ」だったんですね! でも私の知ってるジャニーズのイメージじゃない(笑)。
【中将】 めちゃくちゃ健全な感じですからね(笑)。ジャニー喜多川さんに集められて草野球チームをしていたあおい輝彦さんたちが、いつの間にかダンスボーカルグループになってこの曲でデビューして、今に至るというわけです。もはや歴史の世界ですね。