これまでの捜査で、男性が尚子さんを殴ったことや、尚子さんが外傷性くも膜下出血により死亡したことについても、医師の診断書をの内容を検討して違和感はなかったと言いつつも、男性の正当防衛を理由に“お咎(とが)めなし”のような判断を下したことに裕子さんは「正当防衛ではなく、過剰防衛じゃないのか」と疑問を抱いた。
そして、 「口論の際、男性は尚子さんが殴りかかったのを止めようとして、(尚子さんを)振り払うようにして小突いたという可能性がなかったとは言い切れない」とする検察の説明に対しても、「納得できる証拠を示してほしい」と訴え、再び再捜査を申し立てる意思を示した。
現場では、芦屋駅前まで2人を乗せたタクシーに搭載されたドライブレコーダーも“目撃者”となる得る。詳細な会話のやり取りが聞き取りにくい部分があるため、裕子さんは今後、専門家にドライブレコーダーの音声解析の依頼などを検討している。
尚子さんが亡くなり、7年が過ぎた。いまだに男性からは反省の言葉もなく、損害賠償の支払いもないという。裕子さんは「なぜ娘は死んでしまったのか、その理由が明らかになるまで引き下がれない」と語った。
※「再起(さいき)」 不起訴、または中止の処分にした事件や刑事裁判で公訴棄却とされた事件などで,同じ犯罪について再び捜査に着手すること