神戸どうぶつ王国(神戸市中央区)では、20日から、赤ちゃんカンガルー「コゴロー」の一般公開が行われている。コゴローは、通常よりも早い時期に母親の袋から出てしまい、スタッフらに育てられて成長してきた。
デビューに際しては、担当飼育員の城之尾依子さんが着用したエプロンの大きなポケットに入って登場。来園客が、幾重にもコゴローを取り囲んだ。
約1時間にわたってのお披露目。城之尾さんが、カンガルーの誕生や人工哺育について説明するなか、コゴローは体をくの字に曲げてポケットに収まり、終始落ち着いた様子を見せた。公開を機に園を訪れたという神戸市中央区の女性は、「すごくかわいい! 撮った写真は数えきれない。無事に育ってくれて良かった」と笑顔で話した。
温かな雰囲気に包まれてデビューしたコゴロー。この日を迎えるまでには、多くの苦労、そして獣医と飼育員、コゴロー自身がつないだ命の物語があった。
カンガルーの赤ちゃんは、通常、体長2センチ、体重1グラムほどのサイズで生まれ、自力で母親の体をつたって這い上がりお腹の袋に入る。その後は袋の中で育ち、初めて外に顔を出した「初顔認知日」が誕生日とされる。
しかしコゴローは、初顔認知日を迎える直前で袋から出てしまった。スタッフが、獣舎の床に横たわっている姿を発見した際は、腹部に傷を抱え、体は冷たくなっていたという。すぐに獣医らによる治療が行われ、コゴローは一命をとりとめた。そして、母親の袋に帰そうと試みたものの母親が受け付けなかったため、現在まで10人体制で人工哺育を行っている。