近年アレルギーに悩まされる子どもは多く、その親も子どもが食べられるものを探すのに苦労している。
神戸市東灘区にある『Cafe Mutter(カフェ ムッター)』では、アレルギーで食べ物に不自由な思いをしている子どもに、おいしく楽しく味わってほしいとの観点からアレルギーフリーのメニューを提供する。代表の武市圭さんに話を聞いた。
店名の「Mutter」はドイツ語で“母”を意味する。武市さんは母親が他界したときに、ヴィンテージビーズを使ったアクセサリーを作る仕事をしていた。百貨店に出店する際に屋号が必要になり、何かないかと考えた結果、母親に捧げようということでこの名前にしたのだという。
アレルギーフリーの食品を扱うようになったのは、武市さん自身の子どもがアレルギーを持っていたから。乳幼児湿疹がおさまらず、多くの病院を巡ってやっとアレルギーだと判明した。2人目の子どももアレルギーを持っていたそうで、「わが子の食べられるものを自作しよう!」とひらめいたことが、今の事業をスタートさせるきっかけとなった。
自身が開発するフードについて「最初はおいしくなくて大変でした」と当時を振り返る武市さん。だが、米粉だけでなく、白高きびを混ぜ合わせることでよりおいしく作ることができるようになったという。
研究に研究を重ね、ようやくオープンに至った店内には小上がりの席をしつらえた。これは赤ちゃんが横になれるようにと考えたものだ。この場所を利用し、定期的に講師を招いて塾の開催もしている。トイレはおむつ替えがしやすいように大きくするなど、親が息抜きできるための空間づくりに余念がない。
「今は自分も母になり、お母さんたちが集まれる場所になるようにという願いも込めています」(武市さん)