現在の薬師堂は、1999(平成12)年3月に竣工した堂島アバンザ(四ツ橋筋沿い 毎日新聞大阪本社・旧社屋跡)の現代的な建物との調和を図るため、外装のミラーガラス127枚と石で構成した直径7メートルのモダンな球状が特徴。ガラスは、薬師瑠璃光如来にあやかっている(「瑠璃」は「ガラス」の古称)。地元・堂島界隈に生まれ育ち、商売に従事するなどして見守ってきた人々が“都会の中の静寂な空間”に集まり、ささやかな法要が営まれている(現在は毎月20日の日中)。
コロナ禍で密を避けるため、しばらくは奈良・薬師寺の僧侶、山田裕照師と堂島連合振興町会長・霞流(かすばた)喜久英さんの2人だけの法要だったが、行動制限のない年末・年始となったこともあり、従来の形に戻した。霞流さんは「少しずつ活気を取り戻す年になれば。3年ぶりの節分は楽しみです」と話す。
「節分お水汲み祭り」は、厄払いを祈願する「鬼追い」や「お化け」という節分の風習と、地域活性化を目指して始まった「お水汲み祭り」を一体化した行事として続いている。
この日の午後、薬師寺金堂に湧き出る井戸水を薬師如来の御宝前で3日間祈祷した「お香水(こうずい)」に大阪天満宮の「天満天神の水」を加えた霊験あらたかな水が竹筒の護符に注がれた。
そして、薬師堂から2体の鬼が放たれ、堂島から北新地を練り歩き、福豆を投げて厄をはらう「鬼追い」が始まる。
日が暮れると、堂島薬師堂に祀られる弁財天の化身、龍(約15メートル)が堂島から北新地を巡行した。