関西でも数少ない、独立した産後ケア施設として、24時間体制で母親と乳児へのサポートを続ける大阪府東大阪市の「産後ケアセンター小阪」は、2015年の開設以来、乳房ケアや乳児の発達チェックなどを約2600組の母子に提供してきた。
ベッドは6床。すべて個室で、ゆっくりとした時間を過ごすことができる。開設当初は産後ケアの認知度が低く、事業継続が苦しい時期もあったが、2022年の利用者は、前年より150人近く増加し、324人が延べ1704日間利用しており、毎日が満室で入所待ちが続く。
産後ケアセンター小阪の栗本幸司統括部長は「かつては、育児(保育)までの期間、誰も支援しない状況、どこかで“切れ目”が生じる状況が続いていた。もともと産婦人科病院「小阪産病院」が母体だけに、出産後のアフターケアを担う責任感もある」と話す。
そして産後ケア事業について、自治体の”手あげ方式”で国と費用を折半する支援に理解を示し、政府が打ち出した異次元の少子化対策については歓迎し、さらなる充実を求めている。
しかし、慢性的な赤字が続き、開設以来の繰り越し損益は1億円を超えた。今後の事業継続も不安視される状況となっている。
それでも、産後の母親の無力感、ここからの立ち上がりをサポートしたい…そして「本当に我が子が順調に発育しているのか」。進行する核家族化という社会で、母子を救い、孤立を生まない社会への第1歩を、との思いで増床することになった。