2月6日に起きたトルコ・シリア大地震による死者は、27日までに計5万人を超えた。両国とも行方不明者の数を発表しておらず、さらに多くの人的被害が出ている可能性もある。
日本の「国際緊急援助隊」の一員として現地に入り救助活動した、第5管区海上保安本部(神戸市中央区)の関西空港海上保安航空基地に所属する機動救難士、田中靖彬さん(33)が取材に応じ、「これまでで最も壮絶な現場だった」と振り返った。
田中さんは神戸市垂水区出身。幼少期に阪神・淡路大震災を経験している。2009年に海上保安官となり、高知、神戸の各海上保安部に所属し、巡視艇で潜水士として勤務。2020年に関西空港基地の機動救難士となった。東日本大震災や熊本地震でも救助活動に従事している。
被災地では倒壊した建物で捜索、救助活動に徹した。行方不明者の捜索ではがれきの山を掘り起こし、探索器「レスキューレーダー」や救助犬のサポートもあった。
田中さんたちが現地入りしたのは地震発生直後。街はがれきの山だった。高層の建物が倒壊している。おそらく10階、11階はあったのだろう。日本とは建築基準や構造(一部は違法建築もあっとたみられる)が異なることもあり、原形をとどめていない。粉じんが舞い、救助の手が伸びていない場所も数多くあった。医者の数も足りず、救急車がひっきりなしに行き交う。
トルコ災害緊急事態対策庁は、被災地で既に倒壊、または激しく損傷した建物が17万3000棟以上あると明らかにした。