今年1月、コープこうべはインターネット会員向けに「ノロウイルスを原因とする食中毒予防」を啓発するアンケートを神戸市食品衛生協会と共同で実施しました。アンケートには2033人の方から回答があったのだそう。今回は、ノロウイルスを原因とする食中毒の予防啓発の取り組みについて、コープこうべ商品検査センターの担当者に話を聞きました。
――ニュースでも報道されることがありますが、ノロウイルスによる食中毒とはどのようなものでしょうか?
【コープこうべ商品検査センター(以下、商品検査センター)】ノロウイルスは人に感染して下痢や嘔吐などの胃腸炎症状を引き起こす病原体の一種です。カキなどの二枚貝に付着していることがあり、冬場にこのウイルスを原因とする食中毒が多発する傾向があります。また、患者の嘔吐物や便から感染することもあります。
感染すると1~2日後に発症し、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの主症状を伴いますが、発熱は軽度です。通常、これらの症状も1~2日で治まるため比較的軽症の病気ですが、高齢者や乳児は脱水症状などにより重症化することがあり、近年は高齢者施設など集団生活の場で感染が広がることが多い傾向があります。また、国が毎年食中毒に関する統計を取っていますが、2021年の食中毒発生状況では、患者数約1万1千人うちノロウイルスが原因の食中毒患者は43パーセント、約4700人ともっとも多くなりました。
――患者数が一番多い食中毒のため予防に努めたいですね。そのためにも、どのようなアンケート内容だったのか教えてください。
【商品検査センター】ノロウイルスの特徴を知ることで予防法を確認していただくアンケート内容としました。1つ目は、「食中毒の原因となるノロウイルスに対して、アルコール消毒だけでは不十分、正しい手洗いが効果的」という内容です。
――新型コロナウイルス感染症予防のため、トイレなどにアルコールが設置されるようになったこともあり、トイレのあとに十分な手洗いをせずに、アルコール消毒するだけという方が増えているとの情報もありますよね。
【商品検査センター】アンケートでは2割の方が知らなかったという結果になっています。ノロウイルスにはアルコール消毒だけでは不十分なのです。
――食事や調理の前、トイレの後などは、石けんと流水で30秒ていねいに手洗いを実施いただきたいですね。
【商品検査センター】2つ目は、「ノロウイルスは糞便やおう吐物による飛沫感染で広がる場合があり、汚染された食品からだけではなく、人から人への感染がある」という設問です。こちらは95パーセントの方が知っていると回答していました。
3つ目は、「ノロウイルスは食品の中心部を85~90度で90秒以上加熱すると予防できる」という設問です。