明治時代に神戸港が開港したことをきっかけにパンや洋菓子、紅茶などの欧米文化が多く持ち込まれた兵庫県・神戸市。現在でも有名ベーカリーが集まる「パン激戦区」として全国的に知られています。
1977年に創業し、地元の人々から愛されるパン屋「焼きたてパン トミーズ」(本社所在地:神戸市東灘区)もそのひとつ。魚崎本店・三宮店・三宮東店・六甲道店の4店舗で食パンやサンドウィッチなど多彩なメニューを販売していますが、なかでも名物として有名なのが「あん食」です。
「あん食」とは“あん入り食パン”の略称で、外観は普通の食パンに見えますが、スライスしてみるとあんが入ったマーブル状の断面が現れます。北海道産小豆を使った粒あんを、生クリーム入りのパン生地に混ぜ合わせた進化系の「あん食」ですが、そもそも食パンにあんを練りこむというアイデアはどのように生まれたのでしょうか。
「あん食は今から25年ほど前、先代・菊池富雄が開発しました。『子どもが食パンの耳を残すので耳まで美味しく食べれる食パンは作れないのか』『あんパンはあるが、食パンにもあんを入れれないのか』という2つの意見が寄せられたことがもとになっています」(トミーズ)
開発時にもひと苦労があったといい「食パン生地にあんこを包むと、どうしてもあんこ自体の重みで生地に穴があいてしまうので、生地にあんこを塗って成形することで穴が空くことを防いでる」と、独自の製法で作られているそう。
素朴なあんの甘みとコクのある生クリーム入りのパン……という日本人好みなテイストは次第に評判を呼び、子どもからお年寄りまで幅広い世代から人気を得るように。店の看板商品であると同時に、今や“神戸の名物”としても愛されています。
普通に食べるのはもちろんのこと、よりおいしさを楽しめる食べ方があるそうで教えてもらいました。
「まずは3cmぐらいの厚みにスライスします。結構な厚切りですが、それをトーストしバターを塗って食べてみてみださい。あんこの甘みとバターの塩味、そして生クリーム入りの食パン生地のクリーミーさが融合し、あん食本来の魅力を感じられますよ!」(トミーズ)