―――当時、子どもたちはフタを使ってどんな遊びをしていた?
【山村さん】 最もメジャーなのはメンコの代用品ですね。メンコといっても、「たたいてひっくり返す」以外に「口で吹いてひっくり返す」など、地域によっても遊び方が違っていたようです。牛乳瓶のフタというひとつの道具を使って、本当にいろいろな遊びを開発していたのだと思います。
―――コレクターもいた?
【山村さん】 当時はたくさんいたそうです。お金をかけずともコレクターになれるので、小学生に人気だったそうです。先代から聞いた話では、昔は小学生コレクターが牛乳瓶のフタを求めてわざわざ店まで来るということもよくあったそうです。
―――なぜ学校でもらえるのに、わざわざお店まで?
【山村さん】 1度使われたフタではなく、店にある、まだ使われていない“きれいなフタ”を求めて来ていたようです(笑)。栓として使われたフタはフニャフニャになったり汚れたりしてしまって、価値も下がってしまうからでしょうね。そういう面では、今の子どもたちもよりきれいなカードを集めたりしているので同じ感覚なのではないでしょうか。
また、学校では手に入れられない、牛乳屋にしか置いていない飲み物のフタをゲットしに来る子もいたようです。珍しいものを持っていたりすると、友だちの間では崇められるような存在になったみたいですね。
余談なのですが、現在従業員として働くうちの1人は、子どものころに先代からフタをもらったことがあるそうです(笑)。
―――牛乳瓶のフタを販売するに至った経緯は?
【山村さん】 2021年12月からカプセルに牛乳瓶のフタを入れて販売し始めました。牛乳瓶の存在が過去のものになってしまいそうだと感じ、何でもいいのでもう一度いろいろな人に牛乳瓶を手に取って飲んでもらいたいと思ったことがきっかけでした。
当初は「手に取ってもらえれば」くらいの気持ちで販売を開始しました。社内でも「いや売れないでしょ」みたいな感じでしたね(笑)。しかし、販売してみたところ思っていたよりも大きな反響をいただき、おかげさまで現在までに約2万個のカプセルを購入していただきました。
フタは全部で15種類。そのなかの11種類が現行品で、残りの4種類が1960年代当時のもの。カプセルには、すべて未使用のフタを入れています。さらに、「通販でも販売してほしい」という声も多かったため、現在は通販でも販売を行なっています。