《神戸・男子高校生殺害事件 裁判員裁判》 元少年に検察側、懲役20年求刑「将太を奪われた立場、何も得るものない」父親・堤敏さん | ラジトピ ラジオ関西トピックス

《神戸・男子高校生殺害事件 裁判員裁判》 元少年に検察側、懲役20年求刑「将太を奪われた立場、何も得るものない」父親・堤敏さん

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 神戸市北区の路上で2010年10月、堤将太さん(当時16歳・高校2年)が殺害された事件で、殺人罪に問われた元少年(30・事件当時17歳 記事上は「男」と表記)の裁判員裁判・第4回公判が12日、神戸地裁で開かれた。

 男は「(将太さんに対する)殺意はなかった」として、起訴状の内容を否認しており、弁護側は善悪の判断が著しく低下する「心神耗弱」状態だったとして刑の減軽を求めている。争点は男の責任能力の程度と殺意の有無で、判決は23日。

開廷前の神戸地裁・法廷<2023年6月7日 初公判時 ※代表撮影>

 検察側は、争点となった▼殺意は明確▼責任能力もあるとして懲役20年を求刑した。

 論告によると、殺意について「男は殺傷能力を十分に有する折りたたみ式ナイフを用いて、多数回将太さんを刺すなど、生命に及ぼす危険性が高かった」と指摘。「危害を加える意思の強固さもあった」とした。
 また責任能力については「統合失調症を装う“詐病”であり、逮捕直後になかった『幻聴』や『妄想』という言葉を用いて供述するなどの変遷もあった」として精神鑑定医の所見をした。
 そして殺人、単独犯、通り魔的、無差別な犯行であることを鑑みれば、成人に対する量刑として無期刑を選択することもできるが、犯行時は17歳で、人格形成も未熟な時期であったことを考慮して、現行刑法(※)に照らして、懲役20年を求刑した。

検察側「殺意、完全責任能力いずれも明らか」として懲役20年を求刑

 一方、弁護側は、統合失調症を装う“詐病”という鑑定医の意見について「断定することはできない」と述べ、「男には何らかの精神障害が起因して、幻聴や妄想にさらされている」と主張しした。
 そして、検察側の刑法解釈に異論を唱え「(改正前の)少年法が適用され、有期刑の上限は15年となる(※)」と述べた。そのうえで、男が犯行後、逮捕されるまで11年近く、刑事事件を起こしていないことを考慮し、再犯可能性はないとして懲役8年が妥当だとした。

 最終陳述で男は「被害者の人生のすべてを奪ってしまった。激痛、苦しみ、恐怖を与えてしまい申し訳ない。(遺族の)心の安らぎをも奪ってしまった。過去の私はあまりにも未熟だった。最低だ」と述べた。

 この日の午前、将太さんの父親・敏さんをはじめ、遺族5人全員が意見陳述した。「法廷で遺族が意見を述べるのは、これで最後。家族が思いのたけを話してくれたが、被告本人に届いたかどうかはわからない。裁判官、裁判員の心に響いたのではないか」と振り返ったが、「被告本人からも、(証人尋問で出廷した)被告の父親からも、真相が聞かれることはなかった。(自分に都合の良い)別のストーリーを持ち込んで、『これが真実です』と言っていたのがこの裁判。私は(息子・将太を)奪われた立場。何も得るものはなかった」と語気を強めた。

「被告は、自分の勝手な思い込みで他人を殺してしまうのか」将太さんの父親・堤敏さんは憤る<2023年6月12日午後 神戸市中央区>

 敏さんは2010年10月4日(事件発生)から、2021年8月4日(男の逮捕)の期間をひとつの事件としてとらえ、公判に臨んでいるが、一連の審理を振り返り「焦点が犯行当日の絞られていた
ことが残念だ」と述べた。
 遺族代理人・河瀬真弁護士はこの点に触れ「犯人逮捕までの10年10か月、遺族にとって1日1日が罪を重ね、遺族の気持ちを踏みにじっていた。逃亡期間を情状としてどう評価するか、もっと時間を割くべきではなかったか」と話した。

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