かつて寝台特急「北斗星」などを牽引し人気を博した「DD51形ディーゼル機関車」。そのうちの2両がタイに渡り、現在はタイ国鉄の工事車両として活躍している。
車両の技術支援や観光資源としての活用を目的として2019年からクラウドファンディングを続けている「チーム51」プロジェクトリーダー・吉村元志さんに話を聞いた。
長崎県内のホテルで営業顧問として勤務し、鉄道愛好家が集う「長崎きしゃ倶楽部」の代表世話人でもある吉村さんは幼少の頃から大の鉄道ファン。福岡の実家を離れ、神奈川で寮生活を送っていた学生時代は帰省のたびに夜行列車に乗り、鉄道の旅を満喫していたという。
そんな吉村さんが、日本で役目を終えたDD51が売却され、その後タイの鉄道工事会社で工事車両として使われていると知ったのは2018年11月。「2ヶ月前に到着したDD51が台車をタイ仕様に交換したから見に行かないか」と、タイ在住の友人から誘われたことがきっかけだった。
訪れたのは、タイ中部にある泰緬鉄道の起点駅・ノンプラドック駅の車両基地。現地で吉村さんは意外なことを耳にする。
「機関車の操作マニュアルが日本語のものしかなく、正確な操作方法が分からない……と。また、車両を動かしている様子を動画で配信したところ、日本の鉄道関係者に『危険な取り扱い方をしている』と指摘された、という話も聞きました」(吉村さん)
同時に、懐かしい機関車をひと目見ようと日本から多くの鉄道ファンがノンプラドック駅を訪れていることも知る。そこで吉村さんはDD51のタイでの活躍を支援しようと協力を呼びかけ「チーム51」を発足。2019年8月、まずは技術者の派遣を目的にクラウドファンディングをスタートした。