上方を中心に経済の発展に貢献した菱垣廻船「浪華丸」を、大阪・関西万博で世界中の人々に自慢したい。万博開催の年、2025年は「昭和100年」。万博催事企画プロデューサー・小橋賢児氏も「昭和から始まる100年の歴史が終わる時」と表現するほど、激動の日本近現代の節目にあたる。
その万博を機に、復元した和船、日本文化としての「浪華丸」の持続可能な展示を強く願っている。咸臨丸が太平洋横断時の塩飽(しわく・香川県丸亀市など)水主・大熊實次郎の兄・岩吉の玄孫で、「咸臨丸子孫の会」の会長、藤本増夫さんも「菱垣廻船保存プロジェクト」の一員。藤本さんは「浪華丸」について、世界の海洋博物館に展示されている復元船と同じく、現役時代の技術や素材に沿った完全復元船と評価する。
そして「いにしえの神社・仏閣など木造建築の復元に関わった崇高な宮大工と変わらず、消滅の危機にさらされる船大工による木造造船技術の継承であり、日本の文化財だ」と話す。