◆野菜のアクとの違いは?
アクの多い野菜といえば、ゴボウ、レタス、リンゴ、レンコン、ナスなどが挙げられます。これらは、切ることで細胞内のポリフェノールがにじみ出て、空気と反応して変色したり渋くなります。ただ、水にさらすとおさえられるため、野菜のアク抜きは水にさらす方法が一般的です。
野菜をゆでたときにもブクブクとしたアクが出るのは、野菜にも微量なタンパク質が含まれているから。肉と同様に加熱されることでアクが出るそうで、野菜のアクも食べても問題ないものが多いといいます。ブロッコリーのゆで汁はとてもおいしいので、そのままスープとしても楽しめます。
◆ほうれん草などのアクには気をつけて!
タケノコやほうれん草には、尿路結石の原因にもなるアク成分「シュウ酸」が含まれています。そのため、下ゆですることでアク抜きをしますが、このゆで汁は使わないようにしましょう。
◆「コトコト煮」でアクを少なく
肉のタンパク質は加熱によって固まり、脂も高温だと溶けだしてしまいます。そのため、グラグラと沸騰させて煮るとアクが出やすくなります。逆に温度が低すぎると煮汁にうまみが溶けでてしまうため、“コトコト煮”がおすすめ。ゆっくり火を入れることでアクもほどよく出て、うまみが無駄に溶けだしてしまう心配もありません。同様に、野菜もコトコト煮ることで澄んだスープを作ることができます。
◆アクはどこまで取ればいい?
見た目や口当たりが気にならない程度を取れば、それ以上神経質に取る必要はありません。取りすぎは食材の個性や独特の味までもなくすことになり、もったいないのです。
アクも食材に含まれる成分のひとつ。敵対視せず食材の個性としてうまく折り合いをつけることで、素材の味そのものを楽しめそうですね。
(取材・文=市岡千枝)
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