兵庫県では、ひょうご五国の良さをアピールする「地域らしさ」と、これまでにない「新しさ」を兼ね備えた商品を「五つ星ひょうご」として選定し、全国に発信しています。そんな五つ星ひょうごに今年選ばれたのが「朝倉さんしょとようか豚の肉味噌『ぴりとんみそ』」です。地元食材にこだわって作った爽やかな肉味噌の誕生秘話を、合同会社イマジネ(朝来市)代表の藤原雅晃さんに聞きました。
肉味噌に使用されるのは、養父(やぶ)市の特産品である「朝倉さんしょ」と、ブランド豚の「八鹿豚(ようかぶた)」です。味付けは中華風。中華の香辛料としてよく使われる花椒(ホアジャオ)の代わりに、朝倉さんしょを使うことで爽やかな後味を楽しむことができるそう。
◆400年以上の歴史を誇る「朝倉さんしょ」
朝倉さんしょは、400年以上昔から養父市で栽培され江戸幕府への献上品とされた但馬の特産品。香り豊かで、柑橘フルーツを思わせるほど爽やかな風味が特長のひとつです。
肉味噌を作る合同会社イマジネでは、朝倉さんしょの生産も小規模ながら手掛けています。山椒の収穫時期は年間を通じて約1週間。この時期に収穫されたものが佃煮などで食べる「秀品(高級品)」で、適正な収穫時期を過ぎると表皮が固くなり、種子は赤く色づき商品価値は大幅に下がってしまいます。
山椒は収穫時期が短いため、労力の分散が難しく、大幅な栽培面積拡大に結び付かないことが課題だといいます。そこで、兵庫県但馬県民局では、あえて収穫時期が過ぎた実山椒を使用した商品開発に尽力。新たな利用用途を創出することで、優品(B級品)の価値を向上させようと取り組んでいます。
合同会社イマジネでも、会社設立の2020年度からこの取り組みに参画して商品開発に着手。時期を過ぎた山椒は、ペーストに加工したり乾燥させたりすることで、加工品の原料として使用しているそうです。これまでも、昨年度の五つ星ひょうごに選定された、兵庫海苔と朝倉さんしょのコラボ「朝倉さんしょ海苔」や、城崎温泉の老舗餅屋とのコラボ「朝倉さんしょ大福 さんしょのき・モ・チ」など、但馬ならではの商品展開を行っています。「ぴりとんみそ」は、その第三弾として誕生しました。
◆幻の豚「八鹿豚」
“幻の豚”とも呼ばれる八鹿豚。現在、生産者は1軒のみです。唯一の生産者は更なる高みを目指して、飼育環境や品質の良いエサにこだわります。たっぷりと愛情を注ぎ、豚が感じるストレスをなるべく排除して飼育することで、より柔らかな肉質に。また、旨味成分や甘み成分を表す数値も一般的な豚肉に比べて大幅にアップ!「八鹿豚」は、まさに“幻の豚”と呼ぶにふさわしい豚肉といえます。「ぴりとんみそ」は、そんな八鹿豚を使用しています。