昭和の雑貨店で使われていた、赤と白の包み紙「ストップペイル」。ファンシー雑貨好きの心をくすぐる絵柄で、今も多くの人に愛されています。ストップペイルを手がける株式会社シモジマの佐藤さんに、開発秘話から最新事情まで話を聞きました。
―――いつごろ使われていた?
【佐藤さん】 1970〜2000年ごろにかけて、文房具店や雑貨店を中心に全国のさまざまなお店で使ってもらっていました。当時の日本はいわゆるファンシーブームの真っ最中で、若い女性を中心にスヌーピーやハローキティのようなかわいいキャラクターの人気にあわせて、ストップペイルも大ヒットとなりました。その人気ぶりたるや、ストップペイルを真似たデザインが出てくるほどだったんですよ(笑)。
ストップペイルが代表的ではありましたが、実は同時期に200~300種類の柄の包装紙も手がけていたんです。電車やおもちゃ、フルーツの写真などの包装紙を覚えてくださっている人もいるのではないでしょうか。
―――誕生の経緯は?
【佐藤さん】 このデザインは、当時25歳だったデザイナー・板垣順子さんに描いていただきました。あとになって聞いた話なのですが、実は、板垣さん自身はストップペイルのデザインをあまり気に入っていなかったそうです(笑)。昭和独特の印刷時のズレや文字のつたなさに満足していなかったようなのですが、結果的にあの“ゆるさ”が皆さんに愛されたポイントだと考えています。
―――デザインにはどのような意味が?
【佐藤さん】 板垣さんは本来、もっとしっかりとした絵柄を得意とされているんです。板垣さんにはほかにもいくつものデザインを描いてもらっていたのですが、ストップペイルはいい意味で“力を抜いて”描いたデザインだと聞いています。英文ではなくローマ字表記の文章が描かれていたり……。よく見ると、ところどころに“力を抜いて”描いた背景が感じられると思います。
ストップペイルには犬やウサギなどの動物が描かれていますが、そのなかの猫は当時板垣さんが実際に飼っていた「メメちゃん」という猫がモデルだそうです。