食の安全・安心を求める声が高まっている中、兵庫県神戸市に拠点をおくコープ自然派事業連合と、アウトドア企業パタゴニアが、11日、京都にあるパタゴニアの店舗でトークセッションを開催。日本で有機加工食品を広げていくことの意義や、食べることの意味などについて議論が展開されました。
セッション冒頭では、パタゴニアの食品部門であるパタゴニアプロビジョンズのディレクター・近藤勝宏さんが、「食」が地球環境に大きな影響を与えていると話し、パタゴニアも取得している国際認証「リジェネラティブ・オーガニック認証」について説明しました。
また、それらを背景に同ブランドが新たに打ち出したキャンペーン「Eating is Activism 食べることで、社会を変える」についても触れ、パタゴニア創始者であるイヴォン・シュイナード氏の言葉「革命が起こるとすれば、それは食べ物からはじまるだろう。それが唯一の方法だからだ」が原点となっていると話しました。
また、コープ自然派でも「食」について考えるなか、今年4月、コープ自然派を中心として一般社団法人日本有機加工食品コンソーシアムを立ち上げました。「コンソーシアム」は、“提携・共同”などの意味があるラテン語が語源で、ビジネスにおいては複数の企業が共同事業体として一つのサービスを行うことをいいます。
コンソーシアム設立のきっかけを、コープ自然派事業連合副理事長の辰巳千嘉子さんは、「日本で有機食品が広がらなかった理由は、国産の有機小麦が作れなかったこと。しかし今では作れるようになった。有機食品に幅広く使われている小麦のほとんどを輸入に頼る状態では、日本のオーガニックを取り巻く状況や環境は変わらないと思った」と明かしました。
コンソーシアムの目的について、同コンソーシアム監事の小泉佳久さんは、「有機農業は、農家も依頼する側も大変なもの。通常の取引のように(形や質の)いいものだけが届くのとは違い、全量引き取りになるため形が悪いものも出てくる。そうすると、生協などでは売れないものが出てきてしまう」とした上で、「コンソーシアムを立ち上げることで、あらゆる企業や農家が手をつなぎ、加工品などを生産することができれば、有機食品をより遠くまで届けられるようになる」と語りました。