“様々なひきこもりの形” 経験者が語る「誰にでも、どの家庭にも起こりうること」 市民向け講演会も | ラジトピ ラジオ関西トピックス

“様々なひきこもりの形” 経験者が語る「誰にでも、どの家庭にも起こりうること」 市民向け講演会も

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 高齢の親が中高年の子どもの引きこもり生活を支える「8050(はちまる・ごうまる)問題」(※1)が社会的な課題となっている。このたび、神戸ひきこもり支援室の担当者とともに、かつて、ひきこもり生活を経験した2人がラジオ番組に出演。自身のひきこもり経験について語った。

 神戸ひきこもり支援室は、神戸市が設置している公的なひきこもり相談窓口。社会福祉士や精神保健福祉士などの有資格者が相談を受けており、神戸市福祉局相談支援課の加島英義さんによると、「職場の人間関係に悩んで離職してから、気づけば何年もひきこもっていた」「学生時代から不登校を経験し、就職活動もしないままひきこもり生活が長期化していた」など、内容はさまざま。相談件数は2022(令和4)年度の1年間で、のべ3000件にも上るという。

 ひきこもり経験者のシロさん(男性)は、大学院生のころ、多忙な生活や人間関係の悪化から大学を中退したことをきっかけに、徐々にひきこもりがちになっていった。ひきこもり生活を送りながらも「仕事をしたい気持ちがあった」そうで、英語の動画配信を見るなどの努力は続けていたという。

インタビューに応えるシロさん
インタビューに応えるシロさん

 両親に連れられて足を運んだ支援室では、ハローワークへの訪問や「ひきこもり当事者の会」立ち上げにかかわるなど、さまざまなことを経験。「相談員が自分のことをよく理解しようとしてくれ、判断や決断に迫られたときにも相談に乗ってくれて心強かった」と胸の内を語り、現在は就労に向けた訓練を受けていることを明かした。

 もう一人のひきこもり経験者として出演したベルさん(女性)は、親に敷かれたレールを進むように大学まで進学し、医療関係の資格を取得した。その後、医療関係の職に就いたものの、仕事自体に興味が持てないうえ、身体的・精神的な負担から離職。以降、買い物や習い事などに出かけることはできたが、就労に関しては自信を喪失してしまった。

体験を語るベルさん
体験を語るベルさん

 母のすすめもあり、支援室に赴いたベルさん。相談員とともにハローワークを訪れたり、「ひきこもり当事者の会」のひとりとして活動に参加したり。現在は、自分自身が興味を抱いたことから簿記3級を取得し、2級取得に向けて努力を重ねているという。

 ひきこもり生活に至る経緯や原因、その後どうなりたいかは人それぞれ異なる。そのため、一人ひとりに寄り添ったサポートや深い理解が必要不可欠だ。

 9月~11月の期間、神戸市ひきこもり支援室はオンラインによる講演会の開催を予定している。ひきこもりの専門家や経験者が登壇し、ひきこもりに関する基礎知識、当事者が抱える葛藤や社会参加に至るまでの経緯などを紹介する。

 同講演会の開催を踏まえ、ひきこもりを経験したシロさんとベルさんはそれぞれこのように語った。

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