300年以上の歴史を持つ、大阪の「岸和田だんじり祭り」。元々は米や麦などの収穫物に恵まれることを祈った「五穀豊穣」を目的としておこなわれていた祭礼です。ですが、現代においては「地車(だんじり)」で街中を駆ける“パワフルで猛々しい祭り”というイメージが強いのではないでしょうか。
同じように地車をひいて鳴り物(楽器)を鳴らしながら街中を回る祭りは泉大津市や堺市などでも実施されていますが、岸和田のだんじり祭りは他府県や海外での知名度は郡を抜いており、観光客もこぞって見物に訪れるほどの盛り上がりを見せます。なにより、岸和田のだんじり祭りは地元民たちの熱意がすさまじいことで有名。そんな地元民熱愛のだんじり祭りについて、2007年より泉州地域のだんじり情報を発信しているサイト「泉州だんじり祭」の管理人にくわしく聞いてみました。
だんじり祭りは、約4トンの重さがある地車を、大勢の「曳き手」で動かしながら街中を走ります。それと同時に「鳴り物係」が太鼓や笛などをリズミカルに鳴らし、「大工方」というポジションの人がうちわを手に屋根の上で舞います。さらに「やりまわし」といって、速度を落とすことなく角を曲がるという山場もあるためとにかくハードかつ息を合わせることが必須なのです。それだけ激しいお祭りとなると、かなりの練習が必要そうですが……。
「岸和田では、1年を通してだんじり祭りの準備をおこないます。祭礼の日が1カ月後に迫ると、寄合(打ち合わせ)や走り込み、鳴り物の練習といった本格的な準備を毎日のように行っているそうです」(泉州だんじり祭)
毎年9月(岸和田を中心とした地域)と10月(東岸和田を中心とした地域)に2つのエリアに分かれて開催されるだんじり祭り。いずれのお祭りも「宵宮」と「本宮」の2日間が本番となります。そのたった2日間のため、1年がかりで練習や打ち合わせを重ねていくのです。そう考えると、岸和田に住む人々にとってだんじり祭りの存在がいかに大きいのか分かります。
実際に、岸和田には地車を模した「だんじりまんじゅう」や「だんじりせんべい」といった銘菓もあり、だんじりの半被やアイテムをモチーフにしたスマホケースや手ぬぐい・巾着・ピアスなど関連グッズを販売しているお店も少なくありません。
なんと、だんじり軸のカレンダーも存在するとのこと。
「岸和田には、非売品で町や協賛企業などに配られているものではありますが、9月からはじまり翌年の9月で終わるカレンダーがあります。これは、1年が『だんじり祭で始まってだんじり祭で終わる』という意味合いがあるようです。ちなみに、10月開催の地区の場合は10月はじまりのカレンダーとなっています」(泉州だんじり祭)