2018(平成30)年4月、大阪市交通局から民営化されて誕生した大阪メトロ。
「地下空間の大規模改革」と銘打ったプロジェクトは、大阪市の中心部を南北と東西に貫く、御堂筋線と中央線の15駅を対象にしている。
2023年9月、御堂筋線「動物園前」駅(大阪市西成区)の大規模リニューアルが完了し、10月27日、報道陣に公開された。工期は2020年から3年あまり、約27億円を費やした。新大阪、中津、梅田、心斎橋の各駅に続く5駅目となる。
御堂筋線は1933(昭和8)年、日本初の公営地下鉄として開業(梅田~心斎橋間)。大阪の大動脈として、時代とともに営業区間を広げていく。
開業2年後の1935(昭和10)年には、心斎橋から難波、天王寺へ延伸。太平洋戦争後の1960年代はあびこ(我孫子・大阪市住吉区)、新大阪まで伸ばし、1970(昭和45)年の大阪万博開催時には江坂から北大阪急行電鉄との相互直通運転(千里中央まで乗り入れ)を開始した。
現在は北大阪急行・千里中央からなかもず(中百舌鳥・大阪府堺市)までの営業区間30.4キロと、大阪市内の中央を南北に縦貫している。
中央線は、2025年大阪・関西万博の開催やカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の建設が計画される人工島・夢洲(ゆめしま・大阪市此花区)への延伸に向け、順調に工事が進む。両路線は大阪メトロで“ホット”なルートだ。
「動物園前」駅は、その名の通り天王寺動物園や天王寺公園への玄関口として1938(昭和13)年に開業した。リニューアル工事としては大阪万博の前年、1969(昭和44)年以来、54年ぶりとなった。
これまで「暗い」イメージをぬぐえなかった交通局(大阪市営地下鉄)時代からの大阪の地下鉄。駅の老朽化に伴い、壁の劣化や天井の落下の危険性も生じ、いかに安全で清潔な空間とするかが課題だった。
LEDが主流になり、より発光度が高くなったことも駅構内の明るさを引き立たせる。