創業者が復員して商売を始めるにあたり、「パイン缶の美味しさをみなさんに」という思いで誕生したのが「パインアメ」。当初は割り箸で円形のアメをつついて穴を開けていたという。
さまざまな角度で「パインアメ」が注目された2023年、ヒットの引き金は7月、快進撃を続ける阪神タイガース・岡田彰布監督が、「パインアメを1試合で7~8粒を口にするほど好物だ」と明かしたこと。あるテレビ番組だった。
そこから、社内でさまざまな“史上初”があった。売上に製造量、メディアでの露出回数……とりわけ売り上げは夏場に通常の2倍に伸びた。夏はアイスクリームなど冷菓の季節。それなのに、だ。
同社ではこれらに比例して、「パインアメ」の姉妹品「オレンジアメ」や、企業とのコラボレーション商品も店頭で手に取ってもらう機会が圧倒的に増えたと分析する。
■里帰りした「パインアメの缶」
3月、ある女性から「昨年他界した祖母の遺品を整理していたら、パインアメの缶が出てきた」という内容のメールがパイン株式会社に届いた。同社広報室長の井守真紀さんによると、もともと同社でインターネットオークションでパインアメの古い缶を見つけては落札していた(社内には残っていなかったため)が、この女性に依頼して送ってもらった遺品の缶は、創業当初の「業平製菓」と記されており、貴重な資料となったのだ。