鍋料理や炒めものなどさまざまな料理に使われる「しいたけ」。栄養満点である一方、“嫌いな食べ物ランキング”では上位の常連になっており、苦手意識を持っている人が多いようです。筆者も子どもの頃から苦手で、大人になった今も克服はできていません。どうにか克服しようと方法を調べてみると、どうやらしいたけが苦手な人は、「しいたけ特有の理由」があるようなのです。
原木椎茸の栽培から加工・販売を行う野呂食品株式会社(三重県四日市市)の野呂和克さんに話を聞きました。
野呂さんは近隣の学校を中心にしいたけに関する講演会も行っており、今年3月には「子どもたちのしいたけ嫌い」に関する調査を実施。高校生61人にしいたけが好きか嫌いかを聞いたところ「好き」は49%、「嫌い」は51%とほぼ半分に分かれる結果となったそうです。
苦手な人が多い理由について、野呂さんは「しいたけにしか含まれないとされている成分が原因であることが多いです」と言います。
「食感や見た目が苦手だという人もいますが、圧倒的に多い声が『匂い』や『味』です。しいたけに含まれる『レンチオニン』という有機硫黄化合物が関係しており、しいたけ特有の香りの成分となっています」(野呂さん)
ほかに子どもが嫌いやすい食べ物として「ピーマン」や「ゴーヤ」などがありますが、その類としいたけは“嫌われる理由”に違いがあると野呂さん。
「子どもがピーマンやゴーヤを嫌う理由の筆頭は『苦味』と思われます。ですが、苦味は他の食べ物を口にする経験で徐々に慣れ、克服することが可能です。大人になったらピーマンもゴーヤも食べられるようになった……という方も多いでしょう。ですが、『レンチオニン』はしいたけにしか含まれない成分のため、他の食べ物で克服することができません。特に匂いに敏感な子どもは拒否反応を示してしまうことが多く、子どもの頃の苦手意識が大人になっても残っているという方はいらっしゃいます」(野呂さん)
では、しいたけ嫌いを克服するにはどうすれば良いのでしょうか? 野呂さんに聞くと、食べ方によっては特有の香りがほとんどせず食べることもできるとの回答が。
「焼いて食べるのがおすすめです。苦手な人が避けた方がいいのは、乾燥しいたけを水で戻す調理法。水戻しした時にレンチオニンは多く生成されますので、より匂いが気になるかも知れません」(野呂さん)