昔なからの市場が、大手スーパーなどの台頭により姿を消すというニュースを目や耳にすることがある中、神戸市長田区にある長田公設市場協同組合は、様々なアイデアを取り入れて集客につなげている。同市場専務の堀上稔晃さんに話を聞いた。
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長田公設市場協同組合は青果店や精肉店などが集うNAGATA食遊館を運営している。できて25年が経つという。「周囲に大手スーパーもたくさんありますので、大手スーパーに並んでいない商品や、珍しい商品を取りそろえるように心がけています」と堀上さん。
この一年、具体的には地域で評判のパンや天ぷら、シフォンケーキの店などとパートナーシップを組み、品ぞろえを充実させることに力を入れてきたそうだ。特に、電車や車に乗って遠方へ移動することが難しい年配の人たちに喜んでもらえるようにと始めたという。また、まだ一部ではあるものの他の市場にも協力を仰ぎ、堀上さん自らが食べておいしいと感じたものを直談判。同市場で取り扱うようになったものもあるそう。
そして、今年の春から新たに始めたのが、コストコの商品の取り扱いだ。雑貨から少しずつ取り入れていったところ想定以上に好評だったため、人気の食材なども扱うようになり売り場も段々と広げている状況という。
さらに来年に向けて、総菜コーナーでの新展開を企画をしている段階だという。また地元客ではなく、地方の“買い物難民”と言われる人向けの通信販売も考えているそうだ。ラーメンセットや鍋セットのような、便利な料理セットを企画中で、長田地域以外への販路拡大を考えている。
こうしたアイデアは堀上さん自身から出たものもあれば、他のメンバーからのものもあり、さらには堀上さんの家族の声も取り入れられているそうだ。堀上さんは「アイデアや知恵を出して考え続けるしかない。商売を辞めるまではずっと何か考えていると思います」と笑顔で語り、「今後も、大手とは違う独自性を見出していき、集客につなげていきたい」と締めくくった。
※ラジオ関西『こうべしんきん三上公也の企業訪問』2023年12月5日放送回より