【兵庫・赤穂】かきなど販売する坂越の土産物店 北前船の歴史に根差した店づくりで現代の“寄港地”に | ラジトピ ラジオ関西トピックス

【兵庫・赤穂】かきなど販売する坂越の土産物店 北前船の歴史に根差した店づくりで現代の“寄港地”に

LINEで送る

この記事の写真を見る(6枚)

 赤穂義士の故郷として、また、かきの名産地としても知られる兵庫県赤穂市。その東部に位置する坂越(さこし)地区に「伝馬船(てんません)」という名の土産物店があります。地元の人はもとより観光客にも人気というこの店は、その在り方に赤穂・坂越の歴史と伝統が息づいています。店主の永石一彦さんに取材しました。

赤穂・坂越の土産物店「伝馬船」
赤穂・坂越の土産物店「伝馬船」

 永石さんによると坂越は、湾状を呈する地形と湾内に浮かぶ生島(いきしま)によって、天然の良港として古くから栄えた港町。江戸時代に入ると、西廻り航路によって瀬戸内海の海上交通は活発化。坂越浦では廻船業が盛んに営まれるようになりました。

廻船「長安丸」模型(出典:坂越廻船と奥藤家 赤穂市立歴史博物館 特別図録No.9)
廻船「長安丸」模型(出典:坂越廻船と奥藤家 赤穂市立歴史博物館 特別図録No.9)

 そして18世紀後半頃に出現したのが「北前船」です。大阪と北海道を結ぶ航路を行き来する道中に、瀬戸内や日本海側の寄港各地で食料や生活物資などあらゆるものが売り買いされ、坂越も北前船の寄港地としての役割を果たしました。廻船業者は、赤穂で生産された塩を江戸や上方などに運ぶ「塩廻船」で命脈を保ったと伝わります。

 それらの大型船が運んだ物資を浅瀬に届けていた小型の船が「伝馬船」です。現在も坂越では、かき・魚の仕掛けの引き上げや磯端での作業に用いられていて、漁師の間では“てんま”の愛称で親しまれているのだそうです。

坂越の港に停泊する伝馬船(「坂越まち並み館」にて撮影)
坂越の港に停泊する伝馬船(「坂越まち並み館」にて撮影)
坂越に伝わる伝馬船の櫂など(「坂越まち並み館」にて撮影)
坂越に伝わる伝馬船の櫂など(「坂越まち並み館」にて撮影)

 永石さんは店名を検討していたとき、伝馬船と聞いて「これだ!」とひらめいたのだとか。大海原を行くチャレンジ精神、物資や人をつなぐその役割と、店にかける思いの重なりを感じたといいます。

 永石さんの店「伝馬船」にも全国各地の品がそろいます。赤穂の塩、生がき、坂越で加工された「やみつき牡蠣」などの地元商品、坂越かきの汁物、かきやネギを使って焼き上げた「伝馬焼き」といったオリジナル商品、さらに、永石さん自身が各地を巡って見つけた名品や、製造者らと直接交渉して販売が実現した品々です。

LINEで送る

関連記事