■日本への親近感
ヴィクトリアさんが日本が好きで、ずっと日本語の勉強をしていたことも、日本への親近感につながった。いずれは日本の大学にいきたいという夢を抱いていることもあり、しばらくは日本にとどまるという。日本の中学校に通うヴィクトリアさんは、外国人生徒を受け入れている大阪府内の高校の入学試験を2月22日に終えたばかり。今は合否の通知を待っている。
日本で学び、日本で仕事に就きたいと願うヴィクトリアさんを守るためにも、ナタリアさんは日本でデザイナーとしてビジネスを展開し、現地(ウクライナ)で雇用を確保するスタイルを、これからも続けるという。関西のファッション業界へのルートも開けつつある。大手百貨店での催事、通信販売での販路拡大など、手ごたえを感じている。
「日本語は難しい。『くれます・あげます・もらいます…』文法が独特。ひらがなはまだしも、漢字も出てくるから大変」。平日は日本語の勉強を4時間、毎日何らかの文法や文字、言葉を取得するように心がけている。そうしないと、日本でビジネスが成立しない。
日本での生活、不安な気持ちを拭い去ることができたのは、日本人の心の温かさだった。ある日、ナタリアさんは電車に乗り、方向を間違えてしまった。案内表示の文字がわからない、アルファベットは理解できるが、それが駅名なのかも理解できない。その時、ある女性が手を引いて一緒に電車を降りて、乗り場に連れて行ってくれたという。日本人のきめ細やかな対応に心打たれた。
食生活も心配だったが、日本は食材が充実していて、料理に困ることはない。ヴィクトリアさんの持病の症状も治まっていた。「食生活が格段に良くなったから」。食べるものもなかったウクライナのことを思うと、日本に避難して間違いではなかった。
【ウクライナ・ヴィンテージ民族衣装のページ】
■フアッションデザイナー ナタリア・ゴロドさんプロモーション映像 (C)N.Gorod
■ウクライナ・縫製工場とナタリア・ゴロドさんの目指すファッション(C)N.Gorod