一般公開が月2回に 神戸『湊川隧道』 国登録有形文化財の河川トンネル 「心ゆくまで空間味わって」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

一般公開が月2回に 神戸『湊川隧道』 国登録有形文化財の河川トンネル 「心ゆくまで空間味わって」

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 貴重な近代土木遺産として注目されている、日本初の河川トンネル「湊川隧道(ずいどう)」(神戸市兵庫区)=国登録有形文化財=の一般向け公開日が4月から月2回になることが決まった。これまで定期的な一般公開は月1回だったが、来場者増加に伴い、昨秋から試験的に公開日を増やしていた。月2回公開が本格導入されることで、今後は隧道内の見学をゆっくりと楽しめそうだ。

湊川隧道入り口。一般公開日には、開場前から多くの人が集まる=2024年3月16日午後、神戸市兵庫区

 昨年度までの一般公開は毎月第3土曜で、隧道の歴史や構造などの説明会やミニコンサートを開催してきた。北海道や九州など遠方からの人も含めて毎回開始前から行列ができ、コンサートは立ち見の人も多数。公開日の運営を担う「湊川隧道保存友の会」(同区)は、安全性確保のためにしばしば入場制限を行ってきた。

 コンサート目的の人がいる一方で、隧道内をじっくりと見たい土木・歴史ファンもいるため、4月からは、毎月第1土曜を見学のみの公開日、第3土曜をこれまでと同じくコンサートつきの公開日と分けて開催することに。

 また隧道内は音響の良さも魅力で、コンサート出演希望者も多く、これまでは友の会が順番に割り当てていたが、今年度以降は抽選で決まった出演者が登場するという。

コンサートの迫力ある音色に耳を傾ける入場者ら。椅子席の後方には、立ち見の人が並ぶ
吹奏楽のハーモニーがトンネルいっぱいに響きわたる
湊川隧道について説明する湊川隧道保存友の会のメンバー
味わい深いレンガの内壁

 隧道内の案内や説明を行うボランティアガイドは、現在約20人。隧道を管理する兵庫県神戸土木事務所がガイド養成講座を開き、友の会メンバーが講師として指導に当たった。公開日が増えることで、ガイドの活躍の場が広がることも期待されている。

 友の会の佐々木良作副会長(76)は「今までは来訪者が多く、立ち止まって観察することも難しかったと思う。第1土曜日は、こまかいところを見たり、写真を撮ったりして、心ゆくまで隧道内の空間を味わってほしい」と話す。

幻想的な雰囲気を楽しむ入場者ら
トンネル内には、湊川隧道の構造や歴史などを紹介するパネルが展示されている

 湊川隧道保存友の会は2001年に発足。現在の会員は約100人で、うち有志メンバーが見学会や講演会、会報の発行、定期一般公開日のミニコンサート、「土木の日」にちなんだイベント「新湊川ウォーク~湊川隧道通り抜け~」(11月)などを手掛けている。

 佐々木副会長は兵庫県の元土木技術職員で、阪神・淡路大震災で被災した新湊川の災害復旧工事の責任者でもあった。副会長就任後は隧道の保存活動に尽力し、2017年2月放送のNHK『ブラタモリ』で隧道が取り上げられた際は、タモリさんらの案内役として番組に出演した。

 湊川隧道について、同副会長は「現代のような機械がない時代に、手作業であれだけのものを作り、それが100年以上にわたりしっかりと持ちこたえているのはすごい。地域はもちろん、日本の『土木の宝』でもある」とたたえ、「土木構造物としてのすばらしさとともに、歴史と時代背景を知ってもらい、残しておく価値があることを多くの人に実感してほしい」と語る。

湊川隧道内部
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