近年農業就業人口の高齢化が進んでいるが、そうした農業の問題を解消すべく水耕栽培を手掛ける企業が神戸市にある。水耕栽培とは土を使わず水に浮かせて栽培をおこなう農法で、トラクターなどの農機具が不要など様々なメリットがある。「有限会社グリーンスペース造園」(神戸市垂水区)の代表取締役・小山茂樹さんに話を聞いた。
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水耕栽培の発祥は北ヨーロッパ。その後アメリカに渡り、戦後に日本に入ってきたのだという。「一日中太陽が昇らない“極夜”や、“凍土”という固く凍った地面などでも作物を栽培する方法として考え出されました」と小山さん。
水耕栽培では植物の根の部分を肥料が入った水に浸し、必要な養分と酸素を根から吸収させる。植物の生育の要件に土は入っていないそうで、小山さんはこれまで150種類以上の作物で水耕栽培を試し、にんにく・さつまいも・にんじん・サトイモなどほとんどの作物は水耕栽培が可能だとわかった為、特許を取得し専用キットも開発した。
最近では神戸大学から声が掛かり、共同研究が始まった。昨年5月に丹波篠山市でモデル農園を開園し、現在データを取得しているところだという。また、関東では御茶ノ水女子大学との研究も始めている。
その他、障がい者支援施設からの問い合わせも多い。「発達障害の人にも栽培を通じて元気になってほしいとか、安全な食べ物を食べてほしいということで声をかけていただいています。農機具はもちろんのこと雑草を抜いたり炎天下の中で遠くまで水やりに行く必要もないうえ、収穫の喜びが味わえるというところに魅力を感じてもらえているのでは」と小山さんは語る。
後継者がいない農園も数多いなか、従来の農業よりも手軽に育てられる水耕栽培であれば企業などの新規参入も見込めるのではないかと小山さんは分析する。「ゆくゆくは水耕栽培をもとにして、さらに農業に貢献していきたい」とのことだ。
※ラジオ関西『こうべしんきん三上公也の企業訪問』2024年3月6日放送回より