「カニカマ」はツマミやおやつとしてそのまま食べられるだけでなく、サラダなど料理にもアレンジできるすぐれもの。コンビニやスーパーで手頃&手軽に買える日本人にとってポピュラーな食材ですが、実はヨーロッパ諸国でも日本と同じように愛されているのだとか。中でも消費量が多いとされているのが“美食の国”と名高いフランス。フランス語会話学校「ジャルダン・フランセ」(所在地:神戸市中央区)の校長・ルエンさんに、同国における「カニカマ事情」を教えてもらいました。
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カニカマは「カニカマボコ」の略で、その名の通り“カニを模したカマボコ”です。スケトウダラやイトヨリダイなど魚のすり身を使っており、カニエキスや赤い食用色素を使うことで風味や色を再現しています。誕生のきっかけは諸説ありますが、「人工クラゲを開発しようとしたところ失敗し、たまたま生まれたものがカニに似ていた」「かに胡瓜という商品を作っていたところ、製造工程でカニの汁が入った」というふたつが今のところ有力だそうです。
日本で生まれたカニカマ、フランスでも人気なのは本当なのかルエンさんに聞くと「カニカマは『Surimi(スリミ)』として親しまれています。1985年にはフランス初のスリミ製造工場が誕生しました。ヨーロッパでのスリミ人気もフランスから発信されたのではないでしょうか」とのこと。カニカマが爆発的に広まったきっかけは不明ですが、ヘルシー志向の広がりや和食文化の流行、また狂牛病問題などさまざまな理由によって注目されたようです。まだ現地に工場がなく、日本からカニカマを輸入していた時代からフランスでは「ヒット商品になるかもしれない」と予想されていたようです。
カニカマ人気の理由については、「まず“すぐにそのまま食べられる”というのが一番ではないでしょうか。料理へのアレンジのしやすさもあると思います。また、タンパク質が豊富かつローカロリーなのでダイエッターからも人気なようです」とルエンさん。低価格なことも愛される理由で、フランスではカニカマがキロ単位で販売されているのですが、1kgあたり5ユーロ(約830円)なのだとか。
フランスではどんな風に食されているのでしょうか? ルエンさんいわく、「基本的にそのまま食べることが多いですね。マヨネーズにつけて食べるのも人気です。サラダを作る時には、カニカマをハサミで切って使います。パスタの具としても使いますし、グラタンやパイ包みにアレンジしてもおいしいです」とのこと。ちなみに、フランスで食べられているカニカマにもスケトウダラやシロイトダラ、メルルーサなど日本と同じような魚が使用されているそうです。
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他国ではカニカマ料理が独自の進化を遂げており、レシピサイトでは「カニカマのタルト」や「カニカマのマフィン」など様々なものが紹介されています。カニカマ好きの方は参考にしてみるとおもしろいかもしれません。
(取材・文=つちだ四郎)
◆フランス語会話学校 ジャルダン・フランセ
住所
651−0088
神戸市中央区小野柄通6丁目1−9富士ビル2F
電話番号: 078-261-2255
公式サイト