日本酒とざっくりと言われても、実際にどんなものか、よく知らない人も実は多いかもしれません。このたび、“酒の番人”である酒類指導官に、ラジオ番組のなかで話を聞きました。
姫路市の清元秀康市長がゲストを迎えて姫路の魅力について語るラジオ番組『ヒメトピ558』(ラジオ関西)に出演したのは、姫路税務署酒類指導官の佐々木友和さんです。
◆お酒と国税庁との関わりとは
実は、酒類の管轄は、国税庁の役割。佐々木さんいわく、同庁には「(1)内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現=いわゆる税金のこと、(2)酒類業の健全な発達、(3)税理士業務の適正な運営の確保、以上の3つの任務があり、そのうちの(1)と(2)が酒類に関係している」とのこと。そのように、国税庁とお酒とは密接な関わりがあります。同庁の公式サイトにも、「生産から消費まですべての段階における安全性の確保と品質水準の向上を図り、消費者に安全で良質な酒類が提供できるよう努めている」と記されています。
そのなかで、税務署の酒類指導官は、酒類の製造、販売業免許に関する事務や、酒税の個別的な相談、調査などを担当。酒類の品質、安全性や、20歳未満の者の飲酒防止をはじめとする酒類の適正な販売管理の確保、公正な取引環境の整備などにも関わっています(※)。まさに“酒の番人”といえる仕事です。(※国税庁の取組紹介の動画「Web-TAX-TV」、国税庁動画チャンネルで公開中の動画『酒類指導官・鑑定官の仕事』より)
◆日本酒のタイプは4通り
では、日本酒とはそもそも何でしょうか? お酒のプロ、佐々木さんは次のように説明します。
「酒税法においては『米、米こうじ、および水、またはこれらと一定量までのアルコールを原料として、発酵させたもの』を、清酒と規定しています。この清酒のうち、『原料の米に国内産、日本国産米のみを使い、かつ、日本国内で製造されたもの』、この条件を満たしたものが日本酒と呼ばれています」
できあがった日本酒は蔵元さんによって味や香りが非常に大きく異なり、米の品種、酵母の違い、発酵する温度や日数、突き詰めれば米の給水時間、これらの1つで、味わいが変わってくるそう。佐々木さんは、「日本酒の味や香りを一概に表すことが難しいが、味の濃淡、香りの高低によって、大きく4つのタイプに分けることができる」とコメント。その4つは次の通り。
・薫酒(くんしゅ)=吟醸香と呼ばれるバナナやメロンのようなフルーティーな香りと、淡い味わいが特徴。大吟醸酒や吟醸酒に多い。
・爽酒(そうしゅ)=香りを抑えた軽快でスッキリした味わいが特徴。淡麗と表現されることが多い。
・醇酒(じゅんしゅ)=香りは控えめながら、米のうま味が強く濃い味わいが特徴。純米酒や生もと仕込みといわれる日本酒に多い。
・熟酒(じゅくしゅ)=長期熟成により、深い味わいと特徴的な香りを有しており、見た目も黄色や褐色に変化している。紹興酒に近いともいわれている。
メーカーによっては味のタイプをラベルに表示しているものもあり、「甘口」や「辛口」についての目安は『日本酒度』としてラベルに記載されることも。日本酒度がプラスであるほど辛口に、マイナスであるほど甘口に感じる傾向があるので、これも参考にしてほしいと、佐々木さんは述べていました。
◆日本酒の温度帯は3つ
さらに、日本酒は飲むときの温度=飲用温度の幅が非常に広いのも特徴的なお酒と、佐々木さん。大きく分類すると、冷酒・ひや酒・燗酒の3つに分けられるといいます。
・冷酒=5℃~15℃までの温度帯で、香り高い大吟醸酒やフレッシュな味わいの生酒などはこの温度帯で飲むのがおすすめ。
・ひや酒=これが冷酒とよく間違えられるが、いわゆる常温の温度帯。なぜ「ひや酒」と呼ぶのか、所説あるが、冷蔵庫のない時代、日本酒はあっためて飲むか、常温で飲むかの二択。そのため、あたためずに飲む酒をひや酒と呼んでいたそう。
・燗酒=30℃~55℃までの温度帯。日本酒は温めることで、うま味や味わい、香りなどが広がるもの。冷酒やひや酒ではそれほどおいしくなかった日本酒が、燗酒にすることで驚くほどおいしくなることもあります。あっためたお酒は身体に吸収されることが早いため、酔いを早く感じることが可能で、飲みすぎの予防にも。