歩道橋事故の遺族も共感し、事故をどう語り継ぐかを改めて考えるきっかけとなった。
その後、遺族の1人が「安全・安心について、これまでの市職員研修の枠を超えて、市民とともに学ぶべき機会を設けるべきだ」と、美谷島さんの講演開催を明石市へ提案した。
そこで明石市総合安全対策室の上田晃司さんが、美谷島さんの著書「御巣鷹山と生きる」(2010年発刊)を読み、今年5月にJALグループの安全啓発センターを見学した。さらに美谷島さんの講演を聞き感銘を受け、今回の講演会開催につながったという。
上田さんはあの日、新人職員として歩道橋の下で警備や帰宅者の誘導をしていた。しかし、「群衆雪崩(ぐんしゅうなだれ)」で大惨事が生じたことに気付いていなかった。「あの時、自分は何もできなかった」。
事故それぞれに原因や背景が異なる。上田さんは、行政マンとして「市民を守る責務をまっとうするか」を考えている。また歩道橋事故の遺族有志は「『真相究明と再発防止』を求め、この事故が忘れ去られないように、また人々の記憶にとどまったとしても『ただ悲しかった出来事』にしたくない」との思いで、この講演会の意義を語る。
《明石市 安全・安心のまちづくり講演会》6/17(月)~電話での受付開始
◆講師 美谷島 邦子(みやじま・くにこ)さん
日航ジャンボ機御巣鷹山墜落事故の遺族会「8.12連絡会」事務局長
◆日時 2024年7月19日(金)16時~17時30分
◆会場 子午線ホール(兵庫県明石市東仲ノ町 アスピア明石北館9階)
◆定員 100名(先着) ※どなたでも参加可能
◆申込方法 6月17日(月)~6月25日(火) 電話で明石市総合安全対策室へ
◆電話番号 078-918-5069 ※ 受付時間・平日8時55分~17時40分
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《明石歩道橋事故》
2001年7月21日午後8時45~50分ごろ、兵庫県明石市の花火大会会場の大蔵海岸と最寄りのJR朝霧駅を結ぶ歩道橋で発生。殺到した見物客が折り重なるように転倒し(群集雪崩)、0~9歳の子どもと高齢者計11人が死亡、247人が負傷した。
不十分な警備体制が問われ、刑事裁判では、2004(平成16)年12月17日に業務上過失致死傷罪に問われた明石警察署元地域官ら5人が有罪判決を受けた。強制起訴された元副署長は、2013(平成25)年2月20日、公訴時効が成立しているとして「免訴(事実上の無罪)」判決を受けた(刑事裁判はいずれも上告審で確定)。
遺族が明石市や兵庫県(兵庫県警)などに損害賠償を求めた民事訴訟は、2005(平成17)年6月28日に計約5億6千万円の賠償を命じる判決が言い渡された。