2020年から3年以上にわたった新型コロナウイルスの流行を機に、新たな業態を模索し、活路を見いだした店が各地で見受けられる。2023年7月に神戸市垂水区にオープンした「HIROMO BURGER(ヒロモバーガー)」もその一つだ。
オーナーの下川裕之さんは、同市須磨区内で鉄板焼き店を営んでいるが、コロナ禍にテイクアウト分野への業務拡大を検討。「面白い商材がないかと考えた結果、自身が好きなハンバーガーにいきついた」という。
店名の「HIROMO(ヒロモ)」は、自身のあだ名をそのまま店名に採用したもの。パティにこだわり、ステーキとして出すような内ももの柔らかい肉を使用。余分な脂は手切りでカットしている。そこへオリジナルの配合のスパイスを加え、つなぎなしでこねて成形していく。
店を出すにあたって様々な地域のバーガーを食べ歩いたという下川さん。「これだと思ったものをいいとこどりし、オマージュして作り上げました」と話す。レギュラーメニューのほとんどに、分厚いパテ、みずみずしいレタスとトマトを用いている。
バンズは甘め、ふわふわをチョイス。下川さんが鉄板焼きで鍛えた技術は、パティだけでなく、そのバンズを焼きあげる際にも生かされる。カリッと焼き上げることで出した食感を、ハンバーガーのアクセントにしているという。
主力商品がハンバーガーなだけに若い客が多いのかと思いきや、意外にも客の年齢層は高めで、「50代以上の方が多く、70代や80代の方まで来てくれます」と下川さん。ハンバーガー店に来てくれている客が鉄板焼きの店に来てくれることも多々あるのだそうだ。
一番人気は″しそチーズバーガー”。レタス、トマトに加え、糸のように細切りにした大葉をたっぷりと挟み込み、隠し味に自家製ハニーレモンを使っている。さっぱりとした爽やかな仕上がりで、特に女性に人気だそう。
一方、男性に人気なのは、下川さんが「『お肉を食べたい』時に選んでもらいたいハンバーガー」と紹介する“ワイルドダブルチーズ”だ。肉々しさが特長で、肉汁を閉じ込めて焼き上げた2枚のパテを使用。トロトロに溶けた濃厚なチーズとマスタードピクルスとの相性も抜群だ。
リゾート感あふれる店内は、自身の好きなものばかりを集めてDIY感覚で作り上げた。下川さんが若い頃によく行っていたバリ島にあるカフェをイメージしているとのこと。立地はJR塩屋駅北西の高台で、交通アクセスがいいとは言い難い場所だが、同店のインスタグラムやホームページを見たと話す客が訪れて、順調だという。
飽きられないようにと、月替わりでマンスリーバーガーも提供する。今月は″夏野菜たっぷりのラタトゥイユバーガー”だ。下川さんは「今後も進化を続けていく」と意気込んだ。
※ラジオ関西『こうべしんきん三上公也の企業訪問』2024年5月21日放送回より