ストレスフリーな牛のミルク 牛乳消費減少のなか、新技術取り入れチャレンジ続ける京都・綾部の酪農家 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

ストレスフリーな牛のミルク 牛乳消費減少のなか、新技術取り入れチャレンジ続ける京都・綾部の酪農家

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 搾乳後、牛は自分で外に出ていき、次に待っている牛が自ら入っていきます。最初は前から引っ張り、後ろから押さなければ入らないケースが多いものの、早い牛だと1日で身に付くのだそうです。

「酪農の仕事で一番大変なのが朝晩の搾乳作業。24時間休むことなく頑張ってくれるロボットの導入により省力化できたことで、約100頭の乳牛を飼えています」と村上さんは話します。

村上牧場代表の村上知行さん
村上牧場代表の村上知行さん

 しかし、まだまだ苦労もあります。糞尿の堆肥化もその一つです。堆肥は、村上さん自身の畑や近所の農家で使用しているそうですが、綾部市のある日本海側は「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるほど悪天候の日が多く、堆肥が乾燥しにくいことが難点といいます。

 一方で、明るい話題も。

 良質なたんぱく質やビタミン類など多くの栄養素がバランスよく含まれ、コップ1杯(約200ml)で1日に必要なカルシウム量の約3分の1を摂ることができる牛乳(※1)。綾部市では小中学校の給食に、そんな地元の牛乳が用いられているのです。

 また、牛乳を適度な運動(高齢者にとってはややきつい運動)のあとに飲むと、汗のかきやすさや血管の開きやすさが向上し、体温調節効果のアップが期待できるとの研究結果もあります。村上さんは自身も地元の牛乳で育ったといい、「子どもたちにたくさん牛乳を飲んでほしい」と笑顔で話しました。

 現在は、牧場の牛乳を使ったプリンの販売を目指して試行錯誤中という村上さん。今後の展望をこう語りました。

「中央酪農会議(全国の酪農家による生産者団体)が取り組んでいる“酪農教育ファーム”と呼ばれる活動があり、私の牧場もその認証を受けています。酪農を通じて『食や仕事、命の大切さ』を学んでもらい、酪農をやってみたいと思う人が一人でも出てきたら……」。

 折しも6月は“牛乳月間”。農林水産省は、酪農乳業界を横断する組織ともに、日本の牛乳を救う“プラスワンプロジェクト”と銘打って「毎日牛乳をもう(モ~)1杯」と提唱しています。安全・安心・新鮮で高品質な国産100%の牛乳を飲み続けられるよう、日常の暮らしの中で牛乳を飲むことが、日本の酪農を応援し、守ることにつながるのではないでしょうか。

村上牧場の牛たち 写真右はラジオ関西パーソナリティのウラリエ
村上牧場の牛たち 写真右はラジオ関西パーソナリティのウラリエ

※1 一日に必要なカルシウム摂取量は年齢や性別により異なる。

※ラジオ関西『Clip』より

【取材協力】一般社団法人Jミルク、近畿生乳販連
【参考資料】『牛乳に期待される熱中症対策 2013年度版 ー暑さに負けないからだづくりに有効な牛乳習慣ー』(監修:信州大学医学系研究科 能勢博教授、発行:一般社団法人Jミルク)

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