私たちの食卓になじみのある調味料の一つ、マヨネーズ。サラダのみならず、唐揚げ、ポテトなど揚げ物とも相性が良く便利ですが、気付くと分離していて、やむなく捨ててしまった経験はありませんか? 実はマヨネーズは再生できる“資源”です。7月25日(木)に尼崎・塚口のさんさんタウン内で、そんなマヨネーズの回収を含む、一般家庭向けの回収の機会が予定されています。
実はマヨネーズは、0度以下の低温や、逆に高温帯で保管した際に油分と固形が分離してしまい、一度分離してしまうと元に戻しにくい性質を持っています。さらに、マヨネーズのように油分に他の材料を加えて乳化させた製品は、これまで廃食油リサイクル事業でも処理が難しいとされていました。
そのような中、兵庫県尼崎市に、独自技術でマヨネーズの完全リサイクルに着手した企業があります。使用済み廃食用油の回収・再生処理事業を展開する浜田化学株式会社は、マヨネーズを油脂・水・固形残渣(ざんさ=ろ過したあとに残った固形物)に分離。リサイクルによる再資源化を進めています。
同社は、同じく兵庫県にあるマヨネーズ生産工場と連携し、生産過程の中で出てくる廃棄マヨネーズを有効活用するための実証実験を行っていました。
浜田化学株式会社開発部長の中野貴徳さんは「飲食店や工場から回収している廃食用油は、揚げ物など調理後の廃食用油は酸化劣化しており、黒くなっていることがほとんどです。一方、廃棄マヨネーズの油分は劣化が少ないため純度や品質が高く、廃食用油の中でも最高品質のものになっています」と説明しました。その品質の高さは、飼料原料や燃料どころか工業原料向けのインクなどにも使用できるレベルだそう。
また、注目すべき点は「固形残渣」いわゆる“残るカス”の使い道です。固形残渣は通常であれば焼却処分されますが、同社ではそこに活路を見出し、販路開拓も同時に行なっているとのこと。
中野さんは「例えば、廃食用油のリサイクル先でもある豚や鶏の肥料や、大きなマーケットになってきたペットのフード・嗜好品としての活用も視野に、検討を進めています」。ちなみに中野さんによると、適切な処理を施したマヨネーズの固形残渣はやはりマヨネーズ風味だそうです。
現時点では、同社は工場周りから廃棄マヨネーズの回収を進めていく方針ですが、いずれは一般家庭からの回収も試みるとのこと。中野さんは「社内では『再生資源』という言葉を使っています。“リサイクル業者”ではなく“再生資源メーカー”である、と。マヨネーズのみならず、1つのものから2つ、3つの再生資源を生み出し、新たな展開をしていくことが我々の使命です」と話しました。