ササヤマグノームスは日本で発掘された角竜類化石では最も保存状態がよく、角竜類ではユーラシア大陸最東端の化石となる。脛骨内部の構造を調べたところ成熟しきっていない若い個体と推測できるという。原始的な角竜類であるため、角やフリルはなく、全長は80センチだったと推定され、県立人と自然の博物館の田中公教主任研究員は「大型犬ぐらいのサイズ」と話す。
また系統解析の結果、北アメリカの原始的な角竜類と極めて近縁であることがわかった。これはアジアで誕生した角竜類が北アメリカに渡った時期が1億1000万年前である可能性を示唆している。この時期、ユーラシア大陸東部と北米大陸西部が「ベーリング陸橋」によって繋がっており、多くの動物が両大陸を行き来できるようになった。また当時は気温が高く北極圏には森林が存在していたと考えられている。今回の発見は新属新種というだけでなくアジアで生まれた角竜類が北アメリカにまで生息域を広げた可能性まで示している。
化石の第1発見者の足立氏は、「こんなに大事になるとは思ってもみなかった。研究が進んでいることも知らなかった。三枝先生は亡くなってしまったが、名前がつくのは当然」と話した。
■臨時展示「ササヤマグノームス・サエグサイ 篠山の地下に隠された財宝を守る小人」
会期 2024年9月4日(水)~11月10日(日)
会場 兵庫県立人と自然の博物館 3階「兵庫の恐竜化石」展示室前
(三田市弥生が丘6丁目)