「酢豚にパイナップル」「カレーにレーズン」など、スタンダードな料理に果物をトッピングする組み合わせは好き嫌いが分かれがち。ピザにパイナップルをトッピングした通称「ハワイアンピザ」もそのひとつではないでしょうか。過去、アイスランドの大統領が「パイナップルにピザをのせるのを禁止したい」と発言、波紋を呼んだのだとか。とはいえ熱愛するファンも一定数存在し、ピースフルなルックスとは裏腹に、ときに“アリ・ナシ論争”を巻き起こす不思議メニューです。今回はハワイアンピザの歴史や他国での受け入れられ度合い、アレンジ方法などをリサーチしました。
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ハワイアンピザ誕生の地は、カナダのオンタリオ州に位置する地方行政地区、チャタム・ケント。ギリシャ系カナダ人で料理人のサム・パノプロスさんが1962年、同地区のレストランで作ったのがはじまりだとされています。当時ピザの具材として珍しかったパイナップルにくわえ、ハムやベーコンなどの材料を使ったピザがカナダを中心に人気となり、次第に世界へと広がっていったのです。ハワイアンピザというからにはハワイ、もしくはピザ文化を発展させたアメリカのニューヨークやシカゴ、もしくはピザの本場・イタリアのナポリで生まれたのかと思いきや.....まさかのカナダ生まれだったとは。
60年以上の歴史がありいまや定番化したピザではあるものの、一方で“果物がトッピングされている”ということに抵抗感を持たれがちなハワイアンピザ。この両極の認識に対し、興味深い調査を実施した企業がありました。それは、アメリカ生まれの宅配ピザチェーン「ドミノ・ピザ ジャパン」(本社:東京都品川区)です。
同社は新商品・トロピカルツイストの発売にあたり『パイナップル×ピザ ありなし総選挙2024』を企画。駅に設置された投票所やSNS・インターネットを通し、約2週間にわたって投票を呼びかけたところ「あり派68.1%」「なし派31.9%」という結果に(総投票数16万1544票)。
総選挙前には、あり派となし派による討論会も実施。なし派代表として登壇したイタリア人シェフのコッツォリーノ・アンジェロさんは、「甘すぎる」「パイナップルのジューシーさが水っぽい」とハワイアンピザの問題点を指摘したそう。これについて同社は、「やはりイタリアの方からすればパイナップルをピザに入れることは、馴染みがないようです。『イタリア人として受け入れがたい』『パイナップル×ピザは日本茶に砂糖を入れるくらいありえない』という辛辣な意見をいただきました」とコメント。
というのも、本場・イタリアにおいてピザ職人は「生地」に対するこだわりや愛情がかなり強いそう。そのため、果汁がしたたるパイナップルをトッピングすることに抵抗を覚えるのかもしれません。
あり派が勝利をおさめた総選挙の結果を受け、アンジェロさんは「日本人はアレンジが好きだから、パイナップルとの組み合わせも許せるのでは」と日本で受け入れられている理由を分析。
ハワイアンピザをより楽しむ方法はないのだろうか.....と考えた筆者。同社に聞いてみたところ「唐辛子のハラピニオ(ハラペーニョ)をトッピングしては?」というアドバイスが。パイナップルの甘み&ジューシーさとハラピニオのピリ辛がマッチして、よりトロピカルな味わいになるそうです。
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カレーやラーメンなど異国の料理に対して様々なアレンジを施し、口に合うよう進化させてきた歴史と技術を持つ日本。ハワイアンピザが受け入れられているのも、そういった背景のもとなのかもしれません。
(取材・文=つちだ四郎)
◆株式会社ドミノ・ピザ ジャパン
住所 141-0021
東京都品川区上大崎2-13-30 oak meguro 6F
電話番号 0120-838-204
公式サイト