絵本作りでマンションに車の鍵を取りに行くシーンを描いた中学1年の男子生徒は、「曇りがかった空を描くのに、どんなグラデーションにするのかが難しかった。周囲の建物が崩れ、人々の険しい顔の表情を表現するのも大変だった」と話す。
この男子生徒は、翼さんと対面し、震災の話を聞いたこともある。「胸を張って、ひとつひとつの言葉に思いを乗せて話す」ことを心掛けている翼さんの気持ちが伝わり、悲しいと思われがちな震災を、自分の言葉で話す姿に心打たれたという。
翼という名前には、「強く、大きく羽ばたいてほしい」という両親の思いが詰まっている。「伝えたい」と自然にこみ上げる気持ちに逆らうことなく、もっと羽ばたいてほしい子どもたちに命の尊さを語り継いでいく。