2025(令和7)年1月17日、阪神・淡路大震災が発生してから30年が経過した。
震災後に生まれた人の比率が大きくなり、行政機関の職員やボランティアの世代交代が進む。
自然災害の記憶を継承するのが困難な時期に差し掛かるとされる”30年限界説” が危惧され、「伝える」ことの重要性がさらに問われる。
阪神・淡路大震災と同じ直下型地震が発生する可能性が指摘される活断層「山崎断層帯」(兵庫県三木市~岡山県美作市)の研究を続ける、日本地震学会・会員ではりま地盤・地震研究会(兵庫県姫路市)の西影裕一代表は、震災30年を迎えるにあたり、阪神地域や淡路島を訪ねた。
・・・《以下、手記と画像提供・西影裕一さん》・・・
2011(平成23)年の東日本大震災も未曾有の被害をもたらしたが、その92年前の1933(昭和8)年に1,500人以上が犠牲となった昭和三陸地震が発生した。
地震後、各所に石碑(自然災害伝承碑)が建立され、中には「危ないところ(海岸付近)に家を建てるな」と彫られた石碑もあったが(写真1)、しだいに忘れ去られ、海岸付近にもたくさん家が建築されていた。
このように時間が経つにつれ教訓は忘れ去られていく可能性が高い。そういう事実を基に後世の人が教訓を忘れないように伝承する手立てが求められる。
昭和三陸地震の石碑は道路沿いや人家から離れて建立されていることがあるが、阪神・淡路大震災の自然災害伝承碑は身近な地域の公園に建立されていることが多く、伝承されていく可能性がより高い(写真2)。